ポリーへの思いが溢れだす
終盤のダンスは特にお気に入り
『クレイジー・フォー・ユー』撮影:荒井健
「これもまた難しくて。やはり英語の歌詞に合うように作られているので、日本語がぴったり合うように、世間のガーシュインのイメージを崩さないようにと思いながら歌ってはいるのですけど。特に難しいナンバーといえば、2幕の「They Can’t Take That Away From Me」でしょうか。努力したことがうまくいかず、一度はポリーに別れを告げる曲です。ついつい気持ちが入ってしまいますが、音もしっかりとらえて歌わなければならない。しかし音程を追っているとしゃべれなくなる。アップテンポの曲なら勢いに乗っていける部分もありますが、この曲はバラードなので、ぶれないようにしっかり、しっとり歌うようにしています」
――そういう曲が終盤にあると最後まで…(笑)。
「全然、気が抜けないですよ(笑)。全曲、格闘中です」
『クレイジー・フォー・ユー』撮影:下坂敦俊
「スーザンさんはNYシティバレエにも振付しているくらい、クラシックバレエには精通していらっしゃいます。『CFY』の振りの中にもバレエ要素はかなりあって、「Nice Work If You Can Get It」などはかなりバレエ的な流れるような振りで、踊りやすいし楽しいですね。ダンスナンバーはどれも本当によくできている作品だなあと感じます」
――この作品の振付は、日舞でいえば“手が多い”というか、密度が濃く見えるのですが。
「そういった風には感じたことはなかったですね。こういったら次はこう出るよね、というところに足が行ったり、スーザンの振付は、流れがつかみやすく踊りやすいんです。でも難しいですけどね。
特に好きなナンバーはやはり「Nice Work If You Can Get It」。あのシーンを踊るために3時間頑張れるくらい(笑)。踊りではなく“語る”というか、動きを通してポリーへの思いが自然と溢れてきて、彼女への思いを語るというのがものごく好きなんです」
『クレイジー・フォー・ユー』撮影:下坂敦俊
「前回の公演は東日本大震災のあった年で、ちょうどこの役の稽古をしていたことを覚えています。『CFY』は本当に幸せな気分になれる作品ですので、東北の方はもちろん、日本中の方にご覧いただいて、少しでもハッピーになっていただけたらと思っています。僕自身、(開幕まではまだ正式なキャスティングではないので)何としても出演できるよう、残りの稽古を頑張っていきたいです」
*次頁で松島勇気さんの「これまで」をうかがいます。劇団四季を志したのは、なんと5歳の時。どのように「夢」をかなえたのでしょうか?