ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

Star Talk Vol.22 松島勇気、一途な夢のその先へ(2ページ目)

ダンスにおける「型」の美しさ、安定感はミュージカル界随一、の声も高い松島勇気さん。これまでも『キャッツ』等で目の覚めるようなダンスを見せてきた彼が現在、取り組んでいるのが『クレイジー・フォー・ユー』です。歌も芝居もふんだんなミュージカル・コメディの傑作、松島さんにとってはどんな作品でしょうか?これまでの軌跡も伺います。*観劇レポートを追記しました!*

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド


ポリーへの思いが溢れだす
終盤のダンスは特にお気に入り

『クレイジー・フォー・ユー』撮影:荒井健

『クレイジー・フォー・ユー』撮影:荒井健

――流麗で耳に心地よいガーシュイン・ナンバーはいかがでしょうか?

「これもまた難しくて。やはり英語の歌詞に合うように作られているので、日本語がぴったり合うように、世間のガーシュインのイメージを崩さないようにと思いながら歌ってはいるのですけど。特に難しいナンバーといえば、2幕の「They Can’t Take That Away From Me」でしょうか。努力したことがうまくいかず、一度はポリーに別れを告げる曲です。ついつい気持ちが入ってしまいますが、音もしっかりとらえて歌わなければならない。しかし音程を追っているとしゃべれなくなる。アップテンポの曲なら勢いに乗っていける部分もありますが、この曲はバラードなので、ぶれないようにしっかり、しっとり歌うようにしています」

――そういう曲が終盤にあると最後まで…(笑)。

「全然、気が抜けないですよ(笑)。全曲、格闘中です」
『クレイジー・フォー・ユー』撮影:下坂敦俊

『クレイジー・フォー・ユー』撮影:下坂敦俊

――ではいよいよ、松島さんが一番お得意なダンスについてうかがいます。『CFY』での松島さんのダンスを観ていると、タップが核の振付とはいえ、振り付けたスーザン・ストローマンは改めてクラシック・バレエの影響を色濃く受けているように感じられるのですが、それは松島さんが踊っていらっしゃったからなのか、それとも実際にそうなのでしょうか。

「スーザンさんはNYシティバレエにも振付しているくらい、クラシックバレエには精通していらっしゃいます。『CFY』の振りの中にもバレエ要素はかなりあって、「Nice Work If You Can Get It」などはかなりバレエ的な流れるような振りで、踊りやすいし楽しいですね。ダンスナンバーはどれも本当によくできている作品だなあと感じます」

――この作品の振付は、日舞でいえば“手が多い”というか、密度が濃く見えるのですが。

「そういった風には感じたことはなかったですね。こういったら次はこう出るよね、というところに足が行ったり、スーザンの振付は、流れがつかみやすく踊りやすいんです。でも難しいですけどね。

特に好きなナンバーはやはり「Nice Work If You Can Get It」。あのシーンを踊るために3時間頑張れるくらい(笑)。踊りではなく“語る”というか、動きを通してポリーへの思いが自然と溢れてきて、彼女への思いを語るというのがものごく好きなんです」
『クレイジー・フォー・ユー』撮影:下坂敦俊

『クレイジー・フォー・ユー』撮影:下坂敦俊

――今回はどんな舞台にしたいと思っていらっしゃいますか?

「前回の公演は東日本大震災のあった年で、ちょうどこの役の稽古をしていたことを覚えています。『CFY』は本当に幸せな気分になれる作品ですので、東北の方はもちろん、日本中の方にご覧いただいて、少しでもハッピーになっていただけたらと思っています。僕自身、(開幕まではまだ正式なキャスティングではないので)何としても出演できるよう、残りの稽古を頑張っていきたいです」

*次頁で松島勇気さんの「これまで」をうかがいます。劇団四季を志したのは、なんと5歳の時。どのように「夢」をかなえたのでしょうか?
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