バランスのとりやすい日本食が健康に有益
日本食は、遺伝子解析で見ても健康に役立つと評価されています。
しかし実際には私たちは、様々な食べ物を食べ合わせる献立として食べます。食事全体の研究はまだまだ少ないのですが、最近は少しずつ発表されています。
例えば、過去の記事「最も健康な日本食は1975年頃の食事?」でも、ご紹介しています。
最近で注目したいのは、同じ東北大学大学院 農学研究科 宮澤陽夫教授の研究で遺伝子レベルで解析された日本食の健康有益性(2015.KAOヘルスケアレポートNo.45-46特別号)についての研究です。
この研究では、今の長寿の方が育ち盛りに食べていた伝統的日本食、現代の日本食、欧米食の3つのタイプの食事の栄養特性を遺伝子レベルで比較しました。
栄養調査の資料を参考に、ヒトの1週間分21食の献立を作り、凍結乾燥して粉食にして、1群8匹のラットに自由摂取で3週間与え、食べ物の影響がまず現れる肝細胞の遺伝子発現を見ました。
外部から体内に入れる食べ物は異物としてストレスになることがあり、そのストレス対応遺伝子の発現や、過酸化脂質の濃度を調べてみると、日本食は欧米食に比べてストレス性が低く、過酸化脂質も少なくことから、体にやさしい食べ物と考えられます。
同じカロリーをとっても、日本食は欧米食に比べてコレステロール代謝を活性化し、脂肪蓄積を抑える食事だということもわかりました。
和食が健康面でもよいと言われていますが、それは単独のてんぷらや寿司、すき焼きというメニューではなく、バランスよく食べる食べ方にあるということが、重要な点だと思います。
またこのレポートで宮澤教授は、昔の食事の良さを見直すとともに、よく噛むことや、朝食を食べて規則正しい生活リズムをつくることなど大切だとしています。