こんな災難みたことない!『うんちしたのはだれよ!』
もしも空から何かが落ちてきて頭に当たったら、それがどんなに素敵な物でも災難ですね。せめて怪我がなければ、不幸中の幸いというところでしょうか。でも、落ちてきたものがうんちだったら、幸いなどと言ってはいられません。そんな前代未聞の災難にあってしまったもぐらくんがいます。なんてかわいそうなもぐらくん……。どうかみなさんも、もぐらくんと一緒にこんな悪さをした犯人を捜してください。犯人を探しながら、動物のうんちのあれこれがわかる絵本
表紙のもぐらくんは怒っています! 当たり前です。頭の上にうんちが降ってきたのですから。何たる厄災、何たる不幸! これはもう、誰が何と言っても犯人を突き止めない訳にはいきません。もぐらくんは早速捜査にでかけます。大切な証拠(?)を頭に乗せたまま聞き込み開始。まずは通りかかったハトに尋ねました。「ねえ きみ、僕の頭にうんち落とさなかった?」こんな質問に正直に答える人なんているはずないでしょ……というツッコミはとりあえず脇に置いて、成り行きを見守ると、あらビックリ! 奇想天外なユーモア絵本と思われたお話が、急に科学絵本へと様変わりします。
身の潔白を証明するために実際にうんちをしてみせるハト。お話の中で、そのうんちの姿かたちや色などが丁寧に説明されます。「へえ、ハトのうんちってこんなだったんだ」と読者が感心しているうちに、もぐらくんは、馬・ウサギ・ヤギ・牛など次々に容疑者を見つけては、同じ質問を繰り返します。「ねえ きみ、僕の頭にうんち落とさなかった?」と。
そしてどの動物も、それぞれのうんちを見せては無罪を主張します。そのたびに読者は動物のうんちについて色々なことがわかります。小学校の教科書には決して出てこないけれど知っていると楽しいうんち情報が満載。そんな面白さからか、この絵本は生まれ故郷のドイツだけでなく、英語・韓国語・イタリア語・アラビア語など多くの言語に翻訳され、世界中の子どもたちに人気を博しています。
この昔話風の繰り返しとうんちの様子に小さな読者は大笑い! 子どもって、どうしてこんなにうんちが好きなのでしょう? 「うんち」という言葉の響きだけでゲラゲラ笑いだすなんて、大人にとってはもぐらくんの頭上のうんち以上の謎ですね。でも大抵は一過性のものですから、私たち大人も「ダメよ」なんてかたいことを言わずに一緒に大笑いしちゃいましょう。
さてこのもぐらくん、ついに犯人を突き止めます。犯人の名前は「にくやま にくえもん」。いったいどんな動物か、ぜひ当てっこしながら読んでみてください。この憎き犯人に対するもぐらくんのささやかな仕返しも最高ですから、どうぞお楽しみに!
【書籍DATA】
ヴェルナー・ホルツヴァルト:作 ヴォルフ・エールブルッフ:絵 関口裕昭:訳
価格:1404円
出版社偕成社
推奨年齢:4歳くらいから
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