2015年3月の、クラシックのおすすめ新譜CDをご紹介!
毎月大量に発売されるクラシックの新譜CD。その中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介していきます。2015年3月のオススメはこれだ!(発売前、発売延期、売り切れなどの場合もございます。ご了承くださいませ。直接CD店に行く場合などはご注意くださいませ)
チョン(指揮) マーラー:交響曲第9番
インスピレーションと浄化の光に満ちたコンサート。「こんなにも説得力があり、結束したマーラー:第9番の演奏を私は未だかつて聴いたことがない」など 素晴らしい評価を得たチョン・ミョンフン&ソウル・フィルのソウルでの公演ライヴです。
■ガイド大塚の感想
このマーラー最後の交響曲にまつわる切ない様々を一旦忘れ、真摯に楽譜とだけ向き合った印象を受ける、はかなさだけでなく、清清しさをも感じる演奏。ソウル・フィルの各パートのハーモニーがきれいに響き、全体としての音の積み重ねのバランスも丁寧で美しくカラフル。とにかく透明感が強い。3楽章になるとグッとアクセルを踏み込み演奏を凝縮させ、続く終楽章で、これもこの指揮者チョン・ミョンフンの特徴である情熱的な歌を聴かせる。端整さとエモーショナルさ、マエストロらしいマーラー。
バッティストーニ(指揮) イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集
2012年、24歳での二期会「ナブッコ」公演の鮮烈な日本デビューと、絶賛を博した東京フィルとの公演及びそのライヴ盤により、一般クラシック・ファンの間でも瞬く間に若手指揮者注目株の筆頭と目されるようになったイタリアの超新星バッティストーニ。ヴェルディを主軸に据えたイタリア・オペラのエッセンスといえる名曲集が実現しました。首席客演指揮者を務めるジェノヴァのテアトロ・カルロ・フェリーチェは、イタリアでトップクラスの水準にある名門歌劇場です。
■ガイド大塚の感想
待望のオペラ序曲&合唱曲集だが、もういきなり名盤誕生、といった強烈なインパクト。「ウィリアム・テル」序曲・嵐の場面のロックのようなビート感など、どうにも高揚させられる。イタリアの第2の国歌のように愛される「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」などの合唱曲もイタリア人らしい熱く太い力強さがグッと来る。
世界中どこでも同じようなインターナショナルな演奏が多い中、この若き才能の強烈なイタリア人らしさは貴重だし、それが何より魅力的なのが本当にすごい。ますますこの若きマエストロから目が離せない。
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ハーン(ヴァイオリン) モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番『トルコ風』、他
ヴァイオリンの新女王、ヒラリー・ハーン久々の協奏曲アルバム。自身の演奏活動におけるレパートリーの柱であり、「私の一部です」とまで言う2曲の“友なる協奏曲”を収録。現代指揮界最高の実力者、パーヴォ・ヤルヴィが指揮するドイツ・カンマーフィルという素晴らしいパートナーを得て、生き生きとした輝かしい演奏を展開しています。
■ガイド大塚の感想
ヒラリー・ハーンはやはりオーラがある。うま味が強いというか、人を惹き込む音楽性を持っているなぁと改めて確認。完璧なテクニックで潔く芯のある美しい歌を堪能させてくれる。そしてこの盤はまたバックのパーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルが見事(特にヴュータン)。全体的にしなやかに引き締まり、随所に劇的な表現が聴かれ、耳を奪われる。ヒラリー・ハーンは3月上旬に来日公演あり。
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フラング(ヴァイオリン) モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第1&5、他
アンネ=ゾフィー・ムターの秘蔵っ子でもある、ノルウェー出身のヴァイオリニスト、ヴィルデ・フラング。12歳でヤンソンスと共演し神童として注目を集め、周囲に惑わされることなく実力派として着実に活動を続けています。イギリスの若手指揮者、ジョナサン・コーエンと、彼自身が設立した古楽とモダン楽器の両方を演奏するアンサンブル「アルカンジェロ」をバックに、彼女も最善の両立を組み込んだモーツァルトです。
■ガイド大塚の感想
とにかく自然。と言っても「自然=普通」ということではなく、春を感じさせるような若々しく健康的な演奏だ。ジョナサン・コーエン率いるアルカンジェロも、気品よく、美しい流れでフラングをサポートしていて好感。息の合った両者が無理なく自然な音楽を紡ぎ、曲の良さを引き出している。
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マイヤー(オーボエ) Lost and Found ~18世紀オーボエ協奏曲集
オーボエ・レパートリー拡充に力を注ぐアルブレヒト・マイヤーが今回収録したのは、長らく忘れ去られていた18世紀の美しき協奏曲の数々。カンタービレなサウンドで忘れられた古典主義の名曲に新たな息を吹き込んでいます。ここに収録された古典派の形を取る4曲は、モーツァルトと同時代に生き、モーツァルトも彼らの作品を勉強していたという証拠も残っている4人の作曲家による作品。彼らが残した抒情豊かな作品は今日忘れ去られていたものですが、アルブレヒト・マイヤーの手によって美しく蘇り、聴き手の心を優しく包みます。
■ガイド大塚の感想
ベルリン・フィルの首席オーボエとしてお馴染みのアルブレヒト・マイヤー。彼が発掘した「どうして忘れられてしまったのだろう?」と思うほどに魅力的な曲の数々。マイヤーの優しく艶やかな音色と、憂いある場面の表現力など流石だが、カンマーアカデミー・ポツダムの生き生きとした演奏も極めて見事。