アドバイス1 マンション投資はリスクが大きい、家計管理に専念する時期
いただいたデータのみの判断ですが、投資はすべきではないと思います。その理由ですが、まず、マンション投資の難しさがあります。物件価格(借入金)2000万円を金利2.35%、35年返済で組むとすると、返済額は毎月6万9901円(金利は固定として試算。ボーナス払いなし)。そこに固定資産税を含めた諸経費を乗せれば、見込み家賃の7万5000円を上回ってしまいます。
さらに、35年間、同じ家賃でずっと人が借り続けるということは、ほぼ不可能に近いでしょう。途中で家賃を下げるか、リフォームして(費用は持ち出し)家賃を維持するとしても、それでも借り手が途切れる可能性は十分にあります。
結果的に、住宅ローンをタブルで払うという状況に陥ると、現在のほぼ倍の額のローン負担になります。売却をするとしても、残りのローンを相殺できるほどの金額は難しいのが、今の住宅市場の現状です。
加えて、現在の家計環境を考慮すると、そういうリスクを負うことは、とりわけ避けたいということです。奥様が子育て中で、収入はご主人のみ。そのため、貯蓄が難しい状況です。また第2子も希望されている。住宅ローンも始まったばかりです。
まずは堅実に家計の見直しに着手すべきだと思います。
アドバイス2 今は苦しい時期と割り切って、児童手当分の貯蓄だけでも良しとする
出産を機に奥様が退職して家計が苦しくなるのは、どこの家庭も経験することです。それなりの貯蓄が難しいのは仕方のないところ。まずは、赤字家計にはせず、少なくとも児童手当分は貯蓄に回し、取り崩さない。そういう家計を目指してください。それが習慣となれば、奥様が働くようになったとき、その収入のほとんどを貯蓄に回せるはずです。そうなれば、グッと貯蓄ペースも上がり、住宅ローンの繰上返済なども可能となるはずでしょう(変動金利であることと完済が67歳であることを考えれば、定年退職前に完済できるように繰上返済はぜひしておきたいところです)。
アドバイス3 保険は定期タイプを利用して、保険料コストを下げよう
また、家計の見直しで効果があるのは固定費ですが、その代表が保険料です。たとえば、ご夫婦の終身保険2本は貯蓄性も兼ねての加入と思いますが、そのため保険料コストを押し上げています。死亡保障を割安な定期タイプに切り替えれば、それだけで保険料は現在の10分の1(死亡保障500万円、保険期間10年)に抑えられます。
すでに加入している終身保険は、その加入時期にもよりますが、解約して大きく元本割れするようであれば、「払い済み保険」という選択肢もあります。少なくともそれまで支払った保険料は無駄にはなりません。
深野 康彦さん
業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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