クラシック/クラシックおすすめ新譜CD

クラシック音楽のおすすめ新譜CD 2015年2月(3ページ目)

クラシック音楽の新譜CDの中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介します。2015年2月のオススメはこれ!

大塚 晋

執筆者:大塚 晋

クラシック音楽ガイド

ベザイデンホウト(フォルテピアノ) モーツァルト:鍵盤楽器のための作品集Vol.7

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■レコード会社からのオススメコメント
「フォルテピアノの申し子」や「モーツァルトの再来」とも称される天才、ベザイデンホウトのモーツァルト・シリーズ、第7集。

有名なイ短調では、厳しい表情ながらも、フレーズの終わりや、ふとしたハーモニーの変化などで垣間見られる表情の柔らかさに、ベザイデンホウトのセンスを感じます。ほかにも即興的要素の多い変奏曲など、ベザイデンホウトの才を味わいつくせる1枚。(キング・インターナショナル)

■ガイド大塚の感想
モーツァルトが所有していたフォルテピアノと同じ製作者のコピー楽器をフォルテピアノの若き名手が弾く。現代のピアノよりもキラキラとし、また残響も短く疾走感が出て、モーツァルトのイメージした音世界が再現されるよう。正に6番のソナタは巧みな揺らぎや強弱で、軽快で喜びに満ち、彼の楽しいオペラを連想させる。

一方、8番のソナタは2つしかない短調のピアノソナタで、母の死と同時期に書かれた悲しみに満ちた曲。シリアスな演奏で最後の叩きつけるような和音など悲痛だが、フォルテピアノは汚くならないし、重くならない。ベザイデンホウトは、父親に母の死を直接伝えず心の準備をさせた、優しく、また死に対しある種の諦念を持ちながら前を見続けたモーツァルトの愛おしい切なさを際立たせている。


ジャン・ロンドー(チェンバロ) J.S.バッハ:チェンバロ作品集

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■レコード会社からのオススメコメント
ジャン・ロンドーは1991年生まれで、まだ23歳。その年にして、既にバロック時代の奏法を身に着け、決してそれが古臭いものではなく、「現代」におけるポップス、ロックと同じ感覚を持ったサイケデリックで斬新で新鮮さを持っている。ピアノでと違い強弱の不可能なチェンバロによって、彼の即興的に追加される音により、色彩感やテンポで弾き分けているのも興味深い。

チェンバロ演奏を打ち破る新しい解釈であり、あらゆる可能性を取り入れた説得力のあるもの。決して知性や鋭敏な様式感だけでは、これだけの演奏はできるまい。(ワーナー・クラシックス)

■ガイド大塚の感想
最初から良い意味でもう怪しい(笑)。まるで映画を観るような、奇想天外な宇宙の秘密を語るような、ぐるぐると回る世界。絶妙な繊細なリズムセンスで打鍵される音たちは誰も知らなかった異界にいざなってくれる。聴いていて思わず体温の上がる加速なども驚愕。

正に正統派の鬼才誕生といった印象の、中毒性が高い驚くべき1枚。


ヴォーチェス8(ヴォーカル・アンサンブル) LUX

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■レコード会社からのオススメコメント
2003年にウェストミンスター寺院聖歌隊出身者で結成されたア・カペラ・グループ「ヴォーチェス8」のデッカ・リリース第2弾。今作はラテン語で「光」を意味するLUXというタイトルの元、光を想起させる曲が収録されています。

タリス、アレグリからベン・フォールズに至る400年の歴史の中で生まれた作品を透明感あふれるハーモニーで歌い上げ、聴き手を天から降り注ぐ神々しい光に包まれる至福の世界へ誘います。(ユニバーサル ミュージック)

■ガイド大塚の感想
クラシックに限らず楽しいステージも行い世界で活躍する女性2名男性6名のヴォーカル・アンサンブルだが、このアルバムは本気でクラシック。

バチカンで歌われてきたアレグリの秘曲ミゼレーレはじめ妥協なく神々しく美しい。清らかな女声はもちろん美しく癒されるが、ミストのような男声の繊細な重なりも印象深い。


ロリン・マゼール(指揮) DG初期録音全集

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■レコード会社からのオススメコメント
昨年7月に他界した名指揮者ロリン・マゼール。8歳でニューヨーク・フィルを指揮してデビューを飾り、10代半ばで既に全米メジャー・オケのほとんどを指揮していました。

1960年にはバイロイト音楽祭に史上最年少でデビューし、ベルリン・フィルとは1950年代半ばから録音を行っていた天才マゼールの若さあふれる名演を堪能できるBOXセットです。限定盤のため、お早めに!(ユニバーサル・ミュージック)

■ガイド大塚の感想
26歳で振った1957年のベルリオーズ作曲の「ロメオとジュリエット」から始まる18枚。ベートーヴェンから「火の鳥」、ラヴェルのオペラまでたて続けに録音されていて、本当に幅の広い指揮者だったのだと再認識。

表情が濃厚で、テンポが速い箇所が多く、流石のベルリン・フィルも必死の場面も。が、若気の至りと一言で片付けてしまうには勿体無い、若きマゼールが思い描いたであろう鮮烈でドラマティックな世界が感じられる。


クナッパーツブッシュ(指揮) ブルックナー:交響曲第8番、他

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■レコード会社からのオススメコメント
ウエストミンスター・レーベルの中でも屈指の名盤であるばかりか、クナッパーツブッシュの晩年を代表する至高のブルックナー録音としてあまりにも有名な演奏を、没後50年である2015年の初めに、タワーレコード・オリジナル企画盤としてリリース。

『フィデリオ』からの2つの序曲も新規で収録しました。2015年最新リマスター採用。(タワーレコード)

■ガイド大塚の感想
練習嫌いなど、数々のダメ人間伝説で知られるクナッパーツブッシュ。だが、やはりこのブル8は何度聴いてもすごい。

改悪版とも言われる改訂版を使い、シャキッとすることもない演奏だが、生み出される巨大で悠然とした演奏は二度と再現できないだろう太古の世界のような空気感に満ちている。名演とは演奏が上手い下手ではない、ということを教えてくれる強烈名盤。
タワーレコード


モントゥー(指揮) ベルリオーズ:ロメオとジュリエット全曲

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■レコード会社からのオススメコメント
ベルリオーズを得意とした巨匠が87歳で成し遂げた唯一の『ロメオとジュリエット』全曲が久々の復活。

晩年のモントゥーがウエストミンスター・レーベルに残した「第九」と並ぶ重要音源を、タワーレコード・オリジナル企画盤として発売します。国内盤としては1997年以来の再発売。歌詞対訳付き。(タワーレコード)

■ガイド大塚の感想
『春の祭典』の初演指揮者として著名なモントゥーが87歳の時の演奏だが、高齢であることを全く感じさせない。枯れず、端整に理知的に演奏されていく。

ソリストと合唱という歌も入る長大なシンフォニーを、虚飾なく聴かせてくれ、遺産と言うべき演奏。
タワーレコード


ということで、交響曲から室内楽、合唱から再発ものまで注目の新譜を紹介しました。気になったものを聴いていただけたら幸いです。
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