サンゴは植物?動物?
唐突ですが、サンゴは植物でしょうか?それとも動物でしょうか?答えは動物です。サンゴは刺胞動物という動物になります。イソギンチャクやクラゲの仲間です。ただ、広い意味で考えると植物的な要素がないわけではありません。
サンゴはもともと白色ですが、私たちが通常見かけるサンゴは褐色を中心としたさまざまな色をしていると思います。なぜかというと、サンゴは褐虫藻(かっちゅうそう)という植物プランクトンと共生してるからです。このプランクトンは植物ですので葉緑体を持っています。通常見かけるサンゴは、植物プランクトンと共生しているので褐色がかった色になっているのです。
サンゴは昼間、太陽光を受けて褐虫藻が生産する光合成産物を摂取し、夜間は触手を動かして小さな甲殻類などの動物プランクトンを摂食します。エネルギー的には大部分を褐虫藻に依存しており、これを元手に石灰の殻をつくり大量の粘液を放出して体を保護したり清潔に保つのに役立てます。この粘液が多種多様の海洋生物の食物となっています。
一方、褐虫藻は海中より安全なサンゴの体内をすみかとし、サンゴが排出する窒素やリン、二酸化炭素をもらって光合成を行い繁殖します。このようにサンゴ礁の生態系は、サンゴと褐虫藻の共生関係の上に成り立っています。
ちなみに、小笠原諸島などで某国が密漁していたサンゴは、ブローチなどに用いられる「宝石サンゴ」です。宝石サンゴは、深い海に生きており褐虫藻は存在しません。骨格はサンゴ礁にならず、非造礁サンゴと呼ばれます。褐虫藻もいないので成長は遅く、乱獲で激減しています。
「サンゴ」と「腸内細菌」の意外な共通点とは
腸の中には、1000種、100兆個の細菌が存在します!
ヒトの腸の中には、腸内細菌が住んでいます。その数は、1000種、100兆個の細菌にもおよび、腸内細菌の持つ総遺伝子数はヒトの持つ遺伝子の100倍以上に上がることが明らかになっています。
最近の研究では、食物のエネルギー摂取においても、腸内細菌が重要な役割を果たしていることが明らかになっています。例えば、腸内細菌がいない無菌マウスに高脂肪、高カロリーのエサを与えても体重の増加はみられませんが、腸内細菌を成立させると急速な体重増加がみられます。
腸内細菌は、ヒトの進化の段階で獲得できなかったエネルギー摂取に関わる酵素を備えており、ヒトは腸内細菌を利用して食物からエネルギーを獲得しているのです。
また、腸内細菌は、人が消化できない栄養分を分解したり、ビタミンやタンパク質の合成をしたりします。腸内細菌によって腸管免疫が発達し、体外からの新たな病原菌の侵入を防いでくれる働きも持っています。「サンゴ」と「褐虫藻」が共生しているように、「ヒトの腸」と「腸内細菌」も共生しているのです。
最近、地球温暖化や沿岸部の開発による土砂の流入や富栄養化、それに伴う天敵オニヒトデの大発生により、サンゴ礁から褐虫藻が抜けでたり死んだりすることで起こるサンゴ礁の白化が問題となっています。
食生活に気を付けることで、腸から若返るかも?
成人となり老人となると、腸内フローラから善玉菌の乳酸菌群が減少し、悪玉菌のクロストリジウム属が増加するということが報告されています。バランスがいい食事を心がけたり、乳酸菌を含んだ飲食物を定期摂取することで、腸から若返ることができるかもしれません。