「世界中の素敵なもの、魅力的な人たちと感じ合い、
コラボレーションをしたい。だからこの仕事を一生続けていきます」
宮本亜門さん
亜門さんのお仕事を初めて間近で見ることができたのは、『亜門版ファンタスティックス』の公演パンフレットの編集を手掛けた時。稽古の間中、常に音楽のリズムに合わせながら、キャストと共に動き回り、汗びっしょりになって演出なさる姿を見て、すごいエネルギーだと圧倒されたものです。キャストたちが多少疲れを感じても、亜門さんの笑顔とエネルギーを受けたら、「はい、もう一度!」も苦でなくなってしまう。そんな前向きな空気で稽古場を満たす、亜門マジックを目の当たりにしました。
その後、スティーヴン・ソンドハイム作品『スウィーニー・トッド』『メリリー・ウィー・ロール・アロング~それでも僕らは前へ進む~』でもパンフ制作を通して亜門さんの熱に触れ、その創造の過程にワクワクドキドキしたものです。『メリリー・ウィー・ロール・アロング』では稽古期間中、毎日のように台本が変更になりました。稽古場の盆の上に座る亜門さん、彼を囲んで若いキャストたちが熱心に台詞を書き取る…、まるで部活の先輩のような、そんな姿も印象的でした。
国内外でミュージカルはもちろんのこと、ストレートプレイ、オペラなど、さまざまなジャンルで縦横無尽に活躍なさる亜門さん。最近の演出やミュージカル界について、亜門さんのこれまでの人生など、ざっくばらんにお話しいただきました。
個性と個性がぶつかることで、新たな化学反応が生まれる。
この面白さは格別
——亜門さんの演出作品には、ミュージカル俳優だけでなく、幅広いジャンルからキャストが出演なさっています。この方がミュージカルに出演?と驚くこともしばしばですが、その理由を教えてください。年齢、キャラクター、多種多様な個性の方たちが同じ舞台に立ち、色が単色に縛られることなく、自由に想像の翼を広げられる世界が好きです。個性と個性がぶつかることで、新たな化学反応が生まれる。この面白さは格別です。なぜなら人間の表現の可能性が膨らんで行く瞬間に立ち会えるからです。
ミュージカルひとつとっても、ブロードウェイやウエストエンドだと層が厚く、俳優さんは劇団だけでなく、様々なところからいらっしゃいます。日本だと歌、踊りと技術面で限られがちですが、多種多様な表現があっていいのではないかと僕は考えています。