会話のきっかけ、機会を提供する
1938年に『経営者の役割』を刊行したチェスター・バーナード。彼は組織の成立要因を、共通目的(組織目的)・協働意志(貢献意欲)・コミュニケーションと定義しました。共通目的は経営目標であったり、各部の目標であったりします。目指すべき方向を組織のトップが指し示すことです。社内イベント参加後はコミュニケーションが活発になる
協働意志は、言い換えれば協力できる関係作りでしょう。チームで助け合いながら先の組織目標を目指す。組織へのコミットメントでもあります。この協働意志のベースとなるのがコミュニケーションです。
お互いのバックグラウンド、考え方や生い立ちなどを知ることにより、安心することができ、そこで初めて協力できる関係性となるのです。そのためにはコミュニケーションの場、会話の場が必要です。それが社内イベントの大きな役割となります。
社員旅行や運動会はまさに絶好の会話のきっかけづくりとなるのです。今まで会話したことのない社員と行動をともにする中で会話が始まる。仕事では会話していた者同士が、そこからプライベートについて話すことにより、お互いより深い理解をすることになる。そのような場として仕掛けていくのです。
会話の糸口、ネタを提供する
ある企業のトップが毎日社内ブログを更新しています。仕事への思いやプライベートのことまで、さまざまなジャンルで毎日メッセージを発信しています。一方、このトップは現場での少人数の対話集会も開催しているとのこと。このリアルな場において、ブログが大きな効果を発揮しているのです。普通、トップとの対話集会ではトップが一方的に話す場合も多いようです。しかし、この企業では社長ブログで「会話のネタ」を毎日提供しているので、現場社員からも会話が始まるそうです。社内報などの社内コミュニケーションメディアは、会話のネタの提供も一つの役割として考えられます。
結婚しました、子供が生まれました、そのようなプライベート掲載記事は、その典型的なコミユニケーションきっかけ企画です。その役割を十分認識している企業の社内報は、人物写真が掲載されれば、必ずフルネームで名前が掲載されています。「社内報にのってたね!」そのような会話の可能性に賭けているのです。
また、ある企業では社長が社員全員と2年かけて食事会をしたそうです。毎週6名との昼食会です。社員全員が社長と一度は食事を共にし、そして会話をする。その場で社長の思いを直接聞く。その結果、社内報のトップメッセージの閲読率が大幅に上がったそうです。キックオフでの社長の発言の場では、誰一人眠ることなく真剣に話を聞くようになったそうです。
つまり、一度会話することにより、その人のことを知り、結果、関心も持つようになるのです。社員旅行や運動会を始めとする社内イベントは、その最初の会話のきっかけを提供する場として大変重要な、大切な場として考えられるのです。