指しゃぶり対策グッズもあるけれど
専門家でもとらえ方が分かれる指しゃぶり。それをやめさせようとする方法にはどんなものがあるのでしょうか?一番取り組みやすいのは、指をしゃぶっている現場を見るたびに「また指しゃぶっているよ」「やめなさい」と指摘すること。また、指しゃぶり対策グッズとして、マニキュアのように爪に塗り、子どもにひどい苦さを感じさせることで指をなめさせないようにしようというものもあるようです。しかし、気づけば「指なめてるよ!」と指摘することや、お子さんがおなかに中にいた頃から、そして赤ちゃんの時に大切に親しんできた存在に、そのような形でマイナスの感情を芽生えさせてしまうのは、どうなのでしょうか?
多くのお子さんには、単なる癖として指しゃぶりをしてしまうケースも少なくありません。手持ちぶさた、何だかちょっとさびしい気分。そんな様子の時にお子さんが指を口に持っていくようであり、対応可能な時間があるならば、お部屋でも外でも一緒に遊んだり散歩する時間を作ったり、ひざ抱っこで絵本を読んで見たり。少し、指に入れることから気をそらせてあげることが何よりです。
指しゃぶりをやめさせることを目標にしない
指しゃぶりが入眠儀式になっている場合も
指しゃぶりをきっかけに、お子さんとの関係や接し方を考えることは決して無意味なことではありません。しかし、誰が何を基準に発しているか分からない「愛情不足」という言葉にとらわれてしまうことは避けたいものです。
1人っ子のお子さんの場合は、もっと愛情を注がなければいけないのか、1人っ子だから寂しいのでしょうか? 下の子を迎えたお子さんが指しゃぶりをしていたら、もっと均等に接するように頑張らなければいけないのでしょうか? 兄弟が多いのに「みんなに同じように接しているわ」なんて言ったら、逆にお子さんに「それは無理なことだよ」と思われるでしょう。幼児期後半、学童期のお子さんが、完全に指しゃぶりをやめられなかったり、眠るときに限って指をチュパチュパしたりしているようなときにも、何か必ず精神的に不安な要素があるのでしょうか? 指しゃぶりに関する本や専門家の指摘などの中には、精神面の不安定の可能性なども指摘されていますが、それはあくまでも可能性であり、全ての子に当てはまるわけではありません。
また、子どもに完璧にストレスを感じさせない生活環境というのもありえないことです。そもそも人間は、日々、ある程度のストレスと向き合うことで、刺激を受けたり成長したりする部分があります。「最近仕事が忙しくて」「下の子の世話に追われて」「自分の体調がよくなくて」など、あまり子どもとゆっくり触れ合うことができていない状況を振り返り、言葉がけやふれ合いの時間を工夫するきっかけにすることはよいことですが、それを「指しゃぶりを直す」という目標には結びつけると、親子ともに負担を感じて本末転倒になってしまいます。
本人の気持ちを受け止めよう
完全に眠りに落ちたら、そっとはずしてあげましょう。
実際には昼間もごくたまにボーっとしている時に指が口に行っていることもあったのですが、本人もそれなりに悩んで努力していることもわかりました。それ以降、指しゃぶりについて一切指摘をやめたところ、2~3ヵ月もしないうちに、指しゃぶりはなくなっていました。
その子はそれから2年ほどたった後、まだ指しゃぶりをしている2歳の弟に「ゆびたこ」という絵本を読み聞かせながら、当時の気持ちを振り返っていました。この絵本には、やめたいけどやめられない指しゃぶりに悩む小学校に上がる前の女の子の気持ちが、ユーモアたっぷりに描かれています。こんな絵本を一緒に読みながら、本人の気持ちを聞いて受け止めてあげることも、特効薬ではありませんが指しゃぶり卒業への道につながるかもしれません。最後にご紹介しておきたいと思います。
絵本『ゆびたこ』紹介記事 >> 「指しゃぶり卒業を応援する絵本『ゆびたこ』」