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マンション建替え円滑化法 改正のポイント

改正マンション建替え円滑化法が平成26年12月に施行されました。平成27年度の国家試験で出題される可能性もありますので、今回の法改正の背景とポイントを押さえておきましょう。

村上 智史

執筆者:村上 智史

マンション管理士ガイド

マンション建築現場

法改正で、建替えが進むでしょうか

改正マンション建替え円滑化法(マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律)が平成26年12月24日に施行されました。

平成27年度の国家試験では出題の対象法令等に含まれる予定ですから、今回の法改正の背景と要点を押さえておく必要があります。


法改正の背景

マンション建替え円滑化法の施行(平成14年)によって、区分所有法上の建替え決議をした管理組合は、都道府県知事などの許可を受けることを条件に、法人格のある建替組合を設立して事業を推進する枠組みができました。

その結果、管理組合で建替え決議が承認された後は、建替組合が主体となって反対者の区分所有権の買取りを行ったり、区分所有権に付随する担保権や借家権を再建後マンションへ移行させることで、建替えを円滑に進めることが可能になったのです。

しかしながら、旧耐震基準のストックが100万戸を超える中、同法施行後に実現した建替えは、約1万4千戸(183件)にとどまっています。

今回の改正では、耐震性が不足するマンションの建替えを促すため、管理組合の選択肢を増やすとともに、建替えのインセンティブを付与する制度的措置が盛り込まれました。


法改正のポイント

(1) マンション敷地売却制度の創設

老朽化マンションの建替えが進まない大きな要因の一つとして、建替え等の必要資金が工面できず、管理組合として合意形成が進みにくいということがあります。

したがって、管理組合が第三者に既存建物と敷地を一括売却し、その買受者が管理組合に代わって建替えを実現する制度を創設することになったのです。

一般的には、管理組合が建物や敷地を一括売却して清算する場合、区分所有法上の定めがなく、民法に則ることになります。そしてこの場合、原則として区分所有者全員の合意が必要です。

しかしながら、今回の法改正によって、耐震性が不足するマンションに限っては、建替えと同様、区分所有者等の5分の4以上の賛成があれば、建物と敷地を一括で売却して清算できるようになりました。

ただし、この制度の適用を受けるには、管理組合の総会で売却を決議する前に建物の耐震診断を受け、特定行政庁から「危険な建物のため取壊しが必要」という認定を受ける必要があります。

(2) 容積率の緩和優遇措置

耐震性不足の認定を受け、建替えにより新築されるマンションについては、一定の条件を満たせば、特定行政庁の許可により容積率制限が緩和されることになりました。

具体的には次の2つの条件を満たす必要があります。

a) マンションの敷地面積が一定以上の規模を有すること

・低層住宅系用途地域の場合: 1,000平方メートル

・近隣商業地域及び商業地域:  300平方メートル

・その他の用途地域の場合:   500平方メートル

b) 建替計画が市街地環境の整備・改善に資するものであること


マンション敷地売却制度の流れ

改正法における敷地一括売却までの流れは、以下のように定められています。(国土交通省作成資料にもとづき作成)

(1)行政庁から耐震性不足の認定を受け、区分所有者等の5分の4以上の賛成でマンション及びその敷地の売却を行うことを決議。

(2)マンションを買い受けようとする者(デペロッパー等)は、(1)の決議前にそのマンションに係る買受計画を作成し、都道府県知事等の認定を受ける

(3)上記(1)の決議合意者は、合意者の4分の3以上の同意により、都道府県知事等の認可を受け、マンション敷地売却組合を設立。

(4)敷地売却組合は、決議に反対した区分所有者に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で期日までに売り渡すことを請求。

(5)敷地売却組合員の分配金取得計画を決定し、都道府県知事等がこれを認可。

(6)上記(4)の期日に、敷地売却組合がマンションと敷地の権利を取得。(担保権・借家権は消滅)

(7)敷地売却組合は、買受人にマンションと敷地を売却。(その後、買受人がマンションを除却)

実際の試験では、建替え事業制度との比較を交えて問われる可能性がありますから、両制度の相違点を整理しておくことをお奨めします。
(参考資料:国交省作成「新たな老朽化マンションの再生促進策(案)について」P3)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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