いろいろな牛の乳を知ろう!
低脂肪乳と高脂肪乳の違いとどちらが体にいいのかを改めて考えてみましょう。
牛の乳の分類は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」という省令で基準が定められています。長いので「乳等省令」と呼ばれるこの省令には、牛に限らず山羊や羊の乳の基準も書かれています。
乳の種類のうち、牛の乳に関係するものは、生乳、牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳の7種類があります。さらに「乳飲料」と書かれた商品もあります。しかし、どれも「牛乳パック」と呼ばれる同じ形のパックに入っている上、1リットル、500mlなど容量も同じであるため、ぱっと見ただけでは見分けがつきにくいのです。
栄養成分を比較してみよう
牛の乳の種類を比較した図1を下に示しました(拡大できます)。これらの7種類が実際のスーパーに並んでいる牛の乳の種類です。この表を見て「生乳がないな」と思った方がいたら、鋭いです。「生乳」は搾っただけの牛の乳のこと。殺菌されていないので、販売してはいけないことになっています。そのため、「牛乳パック」に入って売られているのは図の7種類ということになります。ちなみに酪農業者さんでも「生乳」のままで飲むことはないそうです。
加工乳と乳飲料の原材料は「生乳」と記しましたが、牛乳、特別牛乳、乳製品も使用することができます。牛乳と特別牛乳は生乳を殺菌するだけしか許されていません。それ以外の成分を調整した牛の乳で、大きく異なるのは「乳脂肪分」すなわち「生クリーム」分がどれだけ入っているかという点です。
高脂肪乳は成分を調整する段階で、脂肪分を残して水分を除去して作ったもので、深いコクがあるとして20年前は非常に人気がありました。低脂肪乳は逆に脂肪分を除去したものですので、あっさりとした味わいが特徴になります。
実際のカロリーの違いはと言うと、脂肪分が1.5~3%違うだけなので、コップ1杯あたり(200g)で牛乳134kcal、濃厚牛乳(高脂肪牛乳)146kcal、低脂肪牛乳92kcal、無脂肪牛乳66kcalです。その他の栄養成分はほとんど調整されていませんので、ほぼ同じです。
「殺菌方法」という基準で選ぶのもアリ
牛乳は「ただ殺菌しただけ」と書きましたが、実は、乳脂肪分を小さく砕いて均一化しています。この工程を「ホモジナイズ」といいます。ホモジナイズすることで、乳脂肪分が小さくなるため、飲みやすくなります。ホモジナイズしていない牛乳は「ノンホモ牛乳」と呼ばれています。ノンホモ牛乳のほうが乳脂肪分が大きいままなので、濃厚な味わいが楽しめます。ただし、ノンホモ牛乳は賞味期限が短いため、北海道などの酪農が盛んな地域のスーパーで極まれに見かける程度。もしくはインターネットで取り寄せれば手に入るという感じです。
もう1つ、殺菌方法も5種類の方法があり(下図)、日本で一般的なのは超高温瞬間殺菌(UHT法)。120~130℃で2~3秒間の殺菌を行う方法です。しかし、ヨーロッパ諸国では高温短時間殺菌(HTST法)と呼ばれる72℃以上で15秒以上での殺菌が一般的です。
この殺菌方法の違いによって風味が異なります。日本人はUHT法で殺菌された牛乳を飲みなれているので、UHT法で殺菌された牛乳が販売のメインですが、殺菌時間が若干、長くなっても、沸騰するような温度にしないほうが風味がよいとHTST法で殺菌された牛乳を好む人もいます。
次ページでは、パッケージから種類の違いを読み取る方法をご紹介します。