基本は子どもを守る家
子育て世帯にとって子どもの健康は大きな関心事です。特にアレルギーを発症する子どもを持つ親にとって家づくりはより慎重にならざるを得ません。アレルギーには食物を原因とするものもありますが、住まいの環境に端を発しているものもあります。人間を守るはずの住まいが人間にダメージを与えていては何のためのシェルターかわかりません。
家づくりの基本は、家族はもちろん子どもを守る家づくりをすることです。子どもが安心して暮らせる住環境をつくることは、大人の義務であり、同時に自分達の健康を守ることにもつながります。そのひとつとして、当たり前ではありますが、アレルギーのない空間をつくることが大切です。
50%以上の子どもが何らかのアレルギー症状?
子どものアレルギー実態についての調査結果によると、24.1%の親が子どもに「はっきりした症状がある(診断された)」と回答され、「軽い症状がある(疑われる)」の回答も27.4%で、合わせると約50%以上の子どもに何らかの症状がみられるという報告があります。症状は次のような内容です。グラフをみると、肌が赤くなる、湿疹が出てかゆくなるなど「アトピー・皮膚炎」が最も多く40.3%です。又「ダニ・ハウスダスト」が16.1%など室内の空気環境が影響する症状も少なくありません。
これらに対して一般的に考えられるのは、まめに掃除したり、空気清浄機を使ったり室内の環境をきれいに保とうとすることですが、それでは根本的な解決にはなっていません。
重要なのは、内装材にホルムアルデヒド発散材料に該当しない建築材料を採用することです。
子育てに配慮した住宅のガイドブック
東京都住宅政策課は2010年、安心して子どもを産み、育てられる住まいづくりを推進するために「子育てに配慮した住宅のガイドブック」を作成しています。優先度の高い事項を[優先]とし、経済的条件や空間的条件など考慮して対応すべき事項を[推奨]と区分して安心・安全や機能性など全部で48項目の指針を揚げています。
このガイドブックは、東京都都市整備局のホームページから無料でPDFがダウンロードできますので、一読することをおすすめします。
子育てに配慮した住宅のガイドブック(東京都都市整備局)
このガイドブックの指針41(58ページ)の表では、室内環境に直接的な影響を及ぼすフローリングや壁紙、建具の施工時に用いる接着剤、塗料などホルムアルデヒドの発散量について配慮することを求めています。内装材を決めるときは、この表を参考に、設計者と相談しながら進めていくと良いでしょう。
その他健康への配慮として、「子どもが長時間過ごす生活スペースの通風や採光を確保すること(指針40/57ページ)」、「外部からの騒音や開口部の防音性能を高めること(指針42/60ページ)」なども書かれています。
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ガイド佐川旭のアドバイス
子育て世帯の住まいのニーズは、幼稚園・小学校の利便性など住宅そのものより住環境に関する要素が重要視されます。しかし子どもは室内で過ごす時間が長いので、いかに居住性能の安心・安全に配慮できるかが大切です。シックハウス対策は子育て住宅においては必須条件です。健康建材を意識してとり入れることで子どものアレルギーに有効な対策となります。
近年はシックハウスに対しての理解がかなり進んできましたが、後から購入した家具やカーテンが原因でアレルギーになることもあります。あらためてシックハウスへの取り組みを整理し、室内に影響を及ぼさない健康空間をつくっていきましょう。