Golden Songs

2月13日~23日=東京国際フォーラムホールC 2月26日~3月1日=梅田芸術劇場メインホール

『Golden Songs』

『Golden Songs』

【見どころ】

関西における最大のミュージカル・ベースとも言える梅田芸術劇場。その開場10周年を記念し、とびきり華やかなコンサートが実現します。出演は女性陣が朝海ひかるさん、安蘭けいさん、一路真輝さん、湖月わたるさん、姿月あさとさん、樹里咲穂さん、春野寿美礼さん。阪急グループらしく全員が宝塚歌劇出身スターである点が特徴的です。

対して男性陣も石井一孝さん、伊礼彼方さん、中川晃教さん、平方元基さん、マテ・カマラスさん、山崎育三郎さんと豪華な顔ぶれ。これまで同劇場で重要な役を演じてきた彼らが、『エリザベート』『CHESS』『ロミオ&ジュリエット』等、劇場ゆかりの演目ナンバーを次々と披露します。ということは、あの方のあの歌がまた聴けるかも?!と、開幕前の想像を楽しんでいらっしゃる方も多いことでしょう。霧矢大夢さん、田代万里生さん、花總まりさん、城田優さんが一部日程で日替わりで出演するのもさらなるご馳走です。
『GoldenundefinedSongs』撮影:花井智子

『Golden Songs』撮影:花井智子

【観劇レポート】

出演者の顔ぶれの豪華さもさることながら、プログラム自体も独創的。独自の企画力に定評のある梅田芸術劇場の10周年にふさわしいコンサートが開幕しました。

音楽監督の甲斐正人さんが袖から登場し、舞台中央奥のオーケストラピットへと歩んでゆく幕開け。甲斐さん自身のアイディアもかなり反映されているのか、第一部はマテ・カマラスさんが口火を切る「ラズル・ダズル」(『シカゴ』)に始まり、ジャズ風アレンジをほどこしたナンバーを、綺羅星のごときスターたちがかわるがわるリードして歌います。女性ナンバーでは中川晃教さんら、男性スターがバックコーラスを務めているのがなんとも贅沢。2枚目役者の揃った男性陣もすこぶる格好いいのに、湖月わたるさんら、女性陣がリードをとると惚れ惚れするほど素敵なのは、宝塚男役という稀有な経験を積んできた彼女たちなればこそ、でしょう。
『GoldenundefinedSongs』撮影:花井智子

『Golden Songs』撮影:花井智子

石井さんのMCで出演者の自己紹介と「本日の一言」(この日は「意気込みを漢字一文字で表すと?」。マテさんは「夏」、石井さんは(感動の沼へ誘いたい、と)「沼」、安蘭けいさんの「鰆」はじめ女性陣はなぜか魚関連…)があり、続いて弦楽四重奏との共演コーナーへ。端正な音色をバックにすることで、春野寿美礼さん(『ファニーガール』から「People」)らの、しっとりとした中にも芯のある歌声が浮き彫りとなります。

『チェス』のヒットソング「One Night in Bangkok」で舞台は一転、再び賑やかに。1番はマテさんが楽しげに(英語で)歌い、2番は“本役”の中川さんが歌うという趣向。続いて中川さんの「Someone Else’s Story」、安蘭さん、石井さんの「You and I」と続き、これまで登場した作品とはかなりテイストの異なるウルヴァース&アンダーソンの楽曲のユニークさが改めて印象付けられます。
『GoldenundefinedSongs』撮影:花井智子

『Golden Songs』撮影:花井智子

続く『The Musical AIDA』では湖月さん、伊礼彼方さんの“Wラダメス”の力強い歌唱に対して安蘭さんが情感豊かにヒロインの心情を表現、そしてキャスト全員が「王家に捧ぐ歌」を歌い、前半の幕が下ります。

2幕は山崎育三郎さん、平方元基さん、伊礼さんを中心に全員で『ロミオ&ジュリエット』の「世界の王」を歌い、スタート。1幕では皆さん、宣伝ビジュアルでも着ていたモノクロの衣裳をスタイリッシュに着こなしていましたが、2幕では樹里咲穂さんのオレンジ、湖月さんのグリーンなど、カラフルな装いにチェンジ。山崎さんの「僕は怖い」では大野幸人さんがコンテンポラリー風の細やかな振りでロミオの心理を表現し、本編舞台とはまた一味異なる面白さが。「どうやって伝えよう」では平方さんが終盤にラテンな哀愁を漂わせ、『レディ・ベス』フェリペ役を彷彿とさせます。

『ファントム』コーナーでは姿月あさとさんが「You are my own」で父の心情を切々と歌い上げた後、この日のゲスト、花總まりさんが登場。湖月さん、姿月さんと19年前の『エリザベート』初演、また2年前のガラコンサートで「ピラティスなどで一生懸命体型を戻し、当時の衣裳で歌った」思い出などを話した後、『ファントム』の「Home」を披露。可憐さを母性で包み込んだ歌唱が印象的です。この後、『エリザベート』コーナーではマテさんと「私が踊るとき」を歌っていましたが、宝塚時代とは異なり男性トートを相手に、芯の強い花總エリザベート色が出ており、今年の公演がさらに楽しみに。

続く春野さんの「China Doll」(『マルグリット』)では、湖月さんが人形に例えたヒロインの人生を鋭いコンテンポラリー・ダンスで踊り、身体と歌唱の見事なデュエットが実現。『エリザベート』コーナーでは「この作品には出たことがないけれど大好きなんです!」と前置きし、石井さんがルキーニの売り物を抱えて登場。実際のルキーニ経験者である湖月さん、樹里さんとともに客席で特製のマグカップを配りながら(最前列や1階通路沿いの席の方はチャンスが大きいかも)「キッチュ」を歌唱。しかしこのコーナーのクライマックスは「最後のダンス」の姿月さん。ややハスキーな声を駆使して1曲に様々なニュアンスを加え、「この世のものではない」存在感を見事に表現していました。

最後の『MITSUKO』コーナーではマテさんが「西と東」を明るく、爽やかに歌い、彼自身の東洋への思いがひしひしと伝わります。そしてヒロインを演じた安蘭さんの「後ろを振り返らずに」の後、全員が登場し、「愛は国境を越えて」を歌唱。1幕もそうでしたが、暗いニュースの多い世界に向けた、相互理解と平和を願う作り手たち、そして出演者たちの思いが伝わるエンディングです。歌われた一曲一曲、そして歌うスターたち自身も黄金の如く輝く、まさに「Golden Songs」の名にふさわしいコンサートと言えましょう。

僕らのイケメン青果店 チョンガンネ

2月16~22日=サンシャイン劇場

『僕らのイケメン青果店undefinedチョンガンネ』撮影:松島まり乃

『僕らのイケメン青果店 チョンガンネ』撮影:松島まり乃

【見どころ】
広告代理店を辞めて青果店をはじめ、年商300億の食品流通会社へと成長させた青年実業家の実話をもとにしたミュージカル。韓国では08年の初演以来公演を重ね、2年前には来日公演も実現した本作が、演出家、キャストを一新して再び来日公演を行います。

周りの言いなりになって生きる会社勤めに疑問を感じ、小さな青果店を始めたテソンと仲間たち。客には誠意をもって対応し、最良の品を適切な価格で売るというポリシーの店は、イケメン揃いということもあって地元の人々に愛されます。2号店の出店を夢見るテソンですが、様々な事情から仲間たちの連帯は壊れかける。2号店、そして彼らの友情の行方は…。

今回のキャストはリーダー格のテソンが『あなたの初恋探します』『フルハウス』等に出演しているミン・ウヒョクさん、相棒のミンソク役が『ウーマン・イン・ブラック』『あなたの初恋探します』等のイム・ガンソンさん。仲間のジファン役がセヨンさんとハン・スンヒさん、ユンミン役がドンヒョンさん、チョルジン役がリッキーさんとミヌさん。演出にキム・ハンギルさんという布陣で、「イケメン・ミュージカル最新型」を見せてくれそうです。

『僕らのイケメン青果店undefinedチョンガンネ』撮影:松島まり乃

『僕らのイケメン青果店 チョンガンネ』撮影:松島まり乃

【公開舞台稽古&記者会見レポート】
リッキーさんによる日本語のMCの後、始まった舞台。店員の一人一人の苦悩が迫真性をもって演じられた13年公演より、今回はリラックス感に重きを置いた演出に見えます。ドンヒョンさんは飄々としたユンミンを軽快に演じ、末っ子チョルジン役のリッキーさんは「愛されキャラ」にぴったり。ホストという副業から抜け出せないジファン役セヨンさんも役柄の雰囲気を出しています。テソンとミンソクが壊れかけた友情を修復させるクライマックスではミン・ウヒョクさん、イム・ガンソンさんが気骨ある芝居を見せ、きらりと光るものがありました。

 

『僕らのイケメン青果店undefinedチョンガンネ』撮影:松島まり乃

『僕らのイケメン青果店 チョンガンネ』撮影:松島まり乃

引き続いての記者会見では、時期柄「バレンタインの思い出は?」という質問にドンヒョンさんが「チョコレートは好きではないです。皆さんの愛が欲しいです」と、韓国男性らしい(!)情熱的なコメントが。筆者からの「今回の演出のポイントは?」に対しては、皆を代表してミン・ウヒョクさんが「それぞれ異なる背景、事情の5人が集まり、問題を解決しながら一つとなって夢に向かっていく。観ていて力が湧いてくるような作品に、というコンセプトで皆で頑張ってきました」と回答。

「舞台俳優とアイドルの混在キャストですが、お互いどう刺激を受けていますか?」との問いには「(アイドルの)彼らはセンスがあり、舞台が面白くなる」(イム・ガンソン)「舞台に立つ人間という意味では共通点があるし、彼らを見ていてプロだなと思う。リッキーは12歳も年下なので、共演していると自分も若くなった気分」(ミン・ウヒョク)「1から10までガンソンさん、ウヒョクさんから学んでいます」(セヨン)「僕より年長なので先輩方はやはりうまいなあと思う」(ドンヒョン)「初のミュージカルで慎重になっていたが、先輩方が肩の力を抜くよう接してくれたり、よくない時には叱っていただいたりして嬉しい」(リッキー)とコメント。公演中に芝居がどんどん変化してゆく可能性もあるかも?と思わせる会見となりました。