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『千年の一滴 だし しょうゆ』と、ドキュメンタリー(2ページ目)

日本が世界に誇る和食の源である「だし」と「しょうゆ」のなりたちを追いかけたドキュメンタリー『千年の一滴 だし しょうゆ』は美しく素晴らしい作品です。このドキュメンタリーをフックにして、食・家族・スポーツ・ファッションと芸術のドキュメンタリーをピックアップしてみました。ドキュメンタリーの魅力をぜひ感じてください。

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド


問題を抱えた家族が障害を乗り越える勇気


『うまれる ずっと、いっしょ。』(2014年度作品)
『うまれるundefinedずっと、いっしょ。』

障害を持った息子くんを愛情たっぷりに育てるご夫婦。

3組の家族の生と死を描いた家族ドキュメンタリー『うまれる ずっと、いっしょ。』。妻に先立たれ悲しみに向き合う老年期の男が、子供たちや孫に支えられながらも、悲しみを乗り越えて第一歩を踏み出す姿。妻の連れ子を我が子のように育ててきたけれど、小さな息子に「本当のお父さんじゃない」と打ち明ける決心をする若き義父。そして18トリソミーという染色体異常の病を闘いながら生きる息子を温かく見守りながら育てる夫婦。

この3組のドラマ、それぞれのキャラクターが愛嬌たっぷりでチャーミング。だから悩みが深刻でも人に重い気持ちを抱かせることはありません。

みんな愛情深いゆえに、目の前の問題に悩み、葛藤し、乗り越えようともがきますが、彼らが常に一生懸命だからこそ、心の中で「頑張って」と叫び続けたくなるのです。

2015年1月10・17日より全国拡大公開決定
監督&企画:豪田トモ 語り:樹木希林
(C)2014 Indigo Films

『毎日がアルツハイマー』(2012年度作品)
この映画は関口監督が、認知症の母親・ひろこさんの日常を映し出したドキュメンタリーです。監督が自分でカメラをまわし、ひろこさんの朝起きてから寝るまでを撮り続けます。

おそらくこの映画を見る人は、あることに気付くはず。それは「こうあるべき」という一般的な常識が認知症の人には通じないということ。自分ルールで動いており、そのルールも気分次第で破られるのです。それでも介護する側は、自分たちのやり方に認知症患者を付き合わせてはいけないというのがよくわかります。

介護の現場は悪戦苦闘の連続で、おそらく映し出されない苦労もあるはずです。でもひろこさんのリズムで生活できているからこそ、関口家の介護生活は軽やかで愛とユーモアに満ちているのです。

この映画には続編『毎日がアルツハイマー2 ~関口監督、イギリスへ行く編~』(2014年度作品)があります。これは認知症のケアを学ぶべく関口監督が英国へ飛び、介護施設を取材するドキュメンタリー。ひろこさんの今後の介護のためでありますが、同時に日本の介護の問題点も突いた意欲的な作品になっています。

企画・製作・監督: 関口祐加

>次はスポーツドキュメンタリーをピックアップしました!
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