「お金」だけではかれないのが医療保険
医療保険によって精神的に救われる、というケースもあります。
毎月支払っているものの例として、「医療保険」や「ガン保険」があげられます。「月々数千円も医療保険やガン保険の保険料を払っているけど、本当に意味があるのかなあ…」と考えて、以下のような理由から、削減を検討している方もいるかもしれません。
●削減理由(例)
1)貯蓄がしっかりあれば、医療費は十分支払えるから。
2)「高額療養費」という制度があるため、一般的な収入の人なら、保険が使える医療行為なら、1カ月あたりの医療費の支払いは9万円程度で済むから。
医療保険の是非は、ファイナンシャルプランナーでも意見の分かれるところです。
ところが、ガイド西山は、医療保険は「金額だけ」では、はかることができないと、実体験を元に感じています。
では実際に、ガイドが、医療保険が支払われたシーンについて、お伝えします。
保険金が出たことで、精神的に少し救われたケース2つ
これは、私の身内と私自身が「医療保険」を実際に使った際のエピソードです。ケース1)身内にがんが発覚し、保険金が出たことで少し救われた
私の身内の話なのですが、以前末期がんが判明したことがありました。
あまりに突然のことで、家族がみんな失意の底にありましたが、たまたま「がん保険」に入っていたため、まとまったお金が出ることになりました。
暗く苦しい状況のなか、「せめて保険金が出てよかった」「保険に加入したという過去の選択は、間違いでなかった」「通院の交通費や、体質改善のための食品購入などにも、(あまり気兼ねをすることなく)お金を使うことができる」などと、プラスの気持ちが生まれました。
病気になると、医療費だけでなく、家族のヘルプにかかるお金や交通費、サプリメント代、がんの場合はウィッグ代など、さまざまな費用がかかります。それらのお金が貯蓄から支払える状況だったとしても、「保険金が出て、そのお金を使うことができる」ということは、明るい話題をもたらしてくれるもの。精神的に少し救われたな、と感じたエピソードでした。
ケース2)帝王切開で保険金が出て、少し救われた
私ごとで恐縮ですが、数年前に子どもを出産しました。当初は普通分娩の予定でしたが、赤ちゃんが大きいことが判明し、(陣痛を何時間も経験しましたが)急きょ帝王切開に切り替わることになりました。
おかげさまで、無事元気に赤ちゃんが生まれましたが、産後のホルモンバランスの変化もあってか、「普通分娩で産めなかった」「帝王切開だと、“自分自身で産んだ”という実感があまりない」「帝王切開は、楽をしたのではないか…」などと、産後しばらくは、自分の出産に対して、少し後ろめたさを感じていました。
(今になって思うと、普通分娩だろうが帝王切開だろうが、無事に生まれたことが、ただただありがたいことです。が、産後すぐは、なかなかそうは思えないものですね…)
帝王切開は、医療行為になるので、医療保険の保険金が出ます。結婚のタイミングで(掛け捨ての)医療保険に入っていたため、入院日額×入院日数+手術代として、少しまとまった保険金をもらえることになりました。
もちろん、そのお金がなくても育児ができるように、お金の準備はしていましたが、「帝王切開で、保険金がもらえた」と、少しだけプラスの気持ちになったこともまた、事実です。その後、(保険のことだけではないですが)おかげさまで無事、明るい気持ちを取り戻して育児をしています。
「帝王切開」以外にも、「切迫早産」や「切迫流産」により、数日~数週間入院するケースもあります。突然のことなので、自分も家族も気が動転するなか「保険金が出てよかった」と、プラスの要素があることは、ありがたいことなのではないでしょうか。
他に削るところがないかも考えてみる
このように、実際に「医療保険を使うシーン」を考えてみると、見方が少し変わると思います。「貯蓄があるなら大丈夫! 医療保険は思い切ってカットしましょう」とは、ガイドは一概には言えないなと感じています。特に「帝王切開」は、出産のうちのおよそ4人に1人の割合を占め、結構な確率。結婚前や妊娠前の女性が医療保険に入ることは、その後の妊娠中のトラブルや、出産の際のトラブル、帝王切開になった場合などに、精神的にもプラスをもたらしてくれる可能性が大きいのではないでしょうか。
月々数千円なら、実は他の出費で削れるかもしれません。「実はあまり行きたくない飲み会を削る」「同じような洋服やコスメを買うのをやめる」「外食を減らして、自炊の回数を増やしてみる」「あまり通えていない習い事をやめる」などと、日々の生活の見直しによって、同じくらいの出費を減らせるかもしれません。
また、貯蓄性の医療保険に入っている場合、掛け捨てのもの(貯蓄性はないもの)に入りなおし、月々の保険料を減らすという手もあります。
いずれにしても、家計でコストカットをする際には、ぜひ自分の人生を長い目で考えてから、検討してみてくださいね。