2014年の演劇界を超個人的に振り返る
という事で、今年上演された舞台の中から演劇ガイドが選んだベスト8プレイ(ストレートプレイ=台詞劇)を上演期間順にご紹介しました。ここ20年ほどは、小劇場出身の劇作家や演出家がメジャーなシーンに進出していくのが1つの主流となっていましたが、その流れは残しつつ、小川絵梨子さん、森新太郎さん、上村聡史さん、熊林弘高さん、木内宏昌さんといった、いわゆる新劇モードの劇団や集団に関わっていたり、劇団等に属さず海外で演劇の勉強をしてきたクリエイター達の活躍が今年は大きく目立ったような気がします。
劇場に通う中で特に印象に残ったプレイヤーは麻実れいさんと浦井健治さん、赤堀雅秋さんでしょうか。
世田谷パブリックシアター主催公演 『炎 アンサンディ』(撮影:細野晋司)
麻実れいさんは『おそるべき親たち』『昔の日々』『炎 アンサンディ』と3本の作品に参加し、圧倒的な存在感と繊細な感情表現で作品の芯に立つ姿が印象的でした。
浦井健治さんは『シャーロック ホームズ ~アンダーソン家の秘密』『ビッグ・フェラー』『タイトル・オブ・ショウ』『アルジャーノンに花束を』『星ノ数ホド』と、ストレートプレイ、ミュージカル合わせて5作品に出演。全く違うテイストの舞台でそれぞれ魅力的な演技を魅せてくれました。1年で新作4本、主演の再演作1本に出演って凄まじい事です。
新国立劇場 『星ノ数ホド』(撮影:谷古宇正彦)
赤堀雅秋さんは劇作家・演出家として外部で活躍しながら、自身の劇団・THE SHAMPOO HATやシス・カンパニー『鼬』で俳優としても作品に参加。ひねている様に見えて、実は繊細だったり気弱だったりする芝居が本当に巧い人だと思います。
また全体的にはいわゆる”イケメン”枠の俳優たちがどんどん力を付けてきていると感じました。皆さん芝居にてらいがないというか、演技が素直で観ていて気持ちが良いというか。これまでの新劇、養成所、各大学、小劇場、映像出身などに加え、2.5次元と言われるジャンルから出てきた俳優さんの台頭を強く感じる年でした。
今回セレクトした8本の舞台をもう一度眺めてみると、どれも「人生」の深い部分について、様々な視点から描いている作品ばかりだなあ、と改めて感じます。まあ、エイジングもあるのかもしれませんが(笑)、劇場に入る前と出た後で自分の中の”何か”が大きく変わる作品に出会えた時、私はとても幸福な気持ちになれるのです。
『演劇』ってやっぱり少し敷居が高いエンタメですよね。決められた日時に安いとは言えないチケットを持って劇場に行かないとその世界は体験できない。でも……だからこそ、素晴らしい舞台と巡り会えた時は人生の色がガラっと変わる圧倒的な感情に包まれたりもするんです。
そんな”劇場”にあなたも是非足を運んでみて下さい。きっとそこには人生のギフトを渡してくれる様々なドラマがある筈です。