『炎 アンサンディ』 演出・上村聡史 シアタートラム

炎

世田谷パブリックシアター主催公演 『炎 アンサンディ』(撮影:細野晋司)


作:ワジディ・ムワワド 翻訳:藤井慎太郎 演出:上村聡史
出演
麻実れい 栗田桃子 小柳友 中村彰男 那須佐代子 中嶋しゅう 岡本健一

自身もベイルートで内戦と亡命を経験したレバノン生まれの劇作家、ワジディ・ムワワド氏の作品を気鋭の演出家・上村聡史氏が立体化した本作。もうもう無条件に素晴らしかったです。

ナワル役の麻実れいさん以外のキャストは1人で複数の役を演じ、基本抽象的な場面設定で4場に渡る物語が進んでいく構成。

シアタートラムは決して広くはない劇場なのですが、麻実れいさんは登場時にちゃんと10代に見えます! 立ち姿や声のトーン、体の使い方は勿論ですが、何より心の持ちようから綿密に役を作り上げているんだなあ、と。

内戦、虐殺、テロ、近親相姦と文字にするだけでおぞましい事が描かれているにも関わらず、物語の強烈なインパクトより、その世界を演じ切った全ての出演者と”舞台でしか成立しない”演出でこの作品を立体化した上村氏に心からの拍手と賛辞を送りたくなる3時間でした。全てが美しく心の深い場所に響き、最後に謎が明らかになった時、何とも言えない感情が胸に迫ってくるのが痛かった。それでも人は生きて行かなければならないのだな、と。

「演劇」の果てしない可能性を体感させてくれた一本。是非再演して欲しいと思います。

『星ノ数ホド』 演出・小川絵梨子 新国立劇場・小劇場


星

新国立劇場 『星ノ数ホド』(撮影:谷古宇正彦)


こちらも「演劇の無限の可能性」を信じさせてくれた舞台。鈴木杏さん、浦井健治さんというチャーミングでありながらきっちり地に足の着いた演技を見せてくれた二人の出演者と、演劇界で熱い注目を集める小川絵梨子氏のコラボレーションは見事!の一言。

いくつもの”現実”が平行して進んで行くという、ある種難解とも言える構成と、つい「あるある」と頷いてしまうアラサー男女の日常の恋愛模様が上手くリンクしていた所もツボでした。

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『ロンドン版 ショーシャンクの空に』
演出・白井晃  シアタークリエ


ショーシャンク

『ロンドン版・ショーシャンクの空に』

スティーブン・キングの中編小説『刑務所のリタ・ヘイワース』を基に、1994年には映画化もされている本作。ロンドン版の舞台は刑務所内の閉塞感がより強く、明確に表現されていると思いました。

佐々木蔵之介さん、國村隼さん、三浦涼介さんら、男性ばかり18人の魅力的なキャストが織りなす濃密な心理劇。ラストシーンではっきり明るい海を見せるのではなく、観客の想像に任せるギリギリの場面で止める白井晃氏の演出がニクかったです。國村隼さん演じるレッドが”未来”を見つめ、「これが俺の、希望」と語るラストに涙が止まりませんでした。

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⇒ ◆佐々木蔵之介×國村隼×三浦涼介 ショーシャンクの空に

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