今からできる相続税対策とは?
2015年からの相続税増税 今からどう備える?
「実質的に相続税が増税になる」とメディアなどで取り上げられていることから、多くの人が相続税改正に関心を持たれているようです。
最近のFP相談をしている時も、相談者からライフプランの作成と同時に、相続に関する質問を多くいただくようになったと感じています。2015年の相続税増税に備えて、今から取り組むべきことをまとめてみました。
2015年からの相続税改正のポイント
まず、相続税改正の内容を確認してみましょう。相続税の主な改正点は、以下の4つです。【改正1】遺産にかかる基礎控除:基礎控除額の引き下げ
【改正2】相続税の税率構造:各法定相続人の取得金額2億円超の税率改正
【改正3】税額控除:未成年者控除及び障害者控除の引上げ
【改正4】小規模宅地等の特例:居住用宅地の限度引上げ、居住用・事業用の併用
「相続税及び贈与税の改正のあらまし」(国税庁)より、転載
相続税の算出方法を大雑把に説明すると、遺産総額から基礎控除額を引いて課税遺産総額を求め、相続人ごとに一定の税率をかけて相続税の総額を求めます(この時、遺産分割の方法に関わらず、法定相続分で分割したものとして計算します)。その後、実際の相続割合で按分し、相続人ごとの納付税額を計算する仕組みになっています。
今回の相続税改正では、基礎控除が4割減らされる(5000万円+法定相続人の数×1000万円を3000万円+法定相続人の数×600万円)【改正1】ため、相続税が増税になるということで注目されています。
一般的なサラリーマン家庭では、【改正1】の影響が大きく、その他の改正については、あまり影響は受けません。
ここでは、相続税の細かい計算方法は割愛しますが、どのように相続税が計算されるかを知っておくと、相続税改正による影響について、より理解しやすくなるのではないかと思います。
【参考】相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(平成27年1月1日施行)
2015年の相続税改正にどのように備える?
■自身の相続税の現状を知る相続税が増税になるという報道がされていますが、自身の相続税が増えるのかどうか確認することが大切です。私自身は、税理士ではないので、相続税を具体的に相談者といっしょに計算することはありませんが、相続税の仕組みについて、あまり理解しないまま、相続税が増税になるから、どうしたら良いのだろうと心配されている人も多いと感じています。まずは、現在の資産状況で、相続税がかかるのか、かからないのか。かかる場合は、どのくらいなのかを確認してみることをおすすめします。
金融機関から、相続税が増税になるから、相続税対策として、生命保険の加入を勧められたという方でも、実は、現在の資産状況では、相続税がかからなかったというケースもあります。相続税の試算については、税理士が開催する無料相談会などで、概算を試算してもらえるので、活用してみると良いでしょう。また、税務署でも税に関する相談窓口を設けているので、個別相談を受けられます。
■相続税よりも、どのように分けるか? 遺産分割対策が重要
相続税を削減する方法として、(1)遺産を減らす、(2)控除を活用するという2つの方法があります。遺産を減らす方法は、さらに、遺産の評価を下げる方法と、生前贈与等によって、相続人に資産を移転する方法があります。
不動産の相続税評価を引き下げるために、二世帯住宅や賃貸併用住宅、アパート等の建設をする相続税対策を行うことがありますが、例えば、二世帯住宅の場合、子どもが複数いるときに、土地や建物をどのように分けるのかが問題になることがあります。相続税を減らすことができても、相続後に子どもの間で、相続争いが起こってしまっては、意味がありません。まずは、円満に相続するための準備が、相続税対策に優先されるべきだと思います。
【参考】子世帯の住み方で、実家の相続税どう変わる?(AllAboutふたりで学ぶマネー術)
■できる相続税対策は、実施する
遺産分割対策に問題ないという場合には、すぐにできる相続税対策は、行わないよりは行ったほうが良いでしょう。具体的には、生前贈与による財産移転と、生命保険の控除の活用です。
生前贈与による財産移転の方法として、毎年の贈与税の基礎控除110万円を活用した贈与、子供や孫が住宅を購入する場合の住宅取得資金贈与、孫への教育資金贈与などです。とはいえ、相続税節税のために贈与をしてしまって、自身の老後の生活を安心して送れないというのでは、本末転倒になるので、老後のライフプランと資金計画をしっかり立てた上で、贈与を実施することをおすすめします。
また、相続人が生命保険金を受け取った場合、相続人の数×500万円が、非課税となります。現預金で資産を持っておくよりも、一時払いの終身保険などの死亡保険に資産を換えておくと、相続税を計算する上で有利になります。(なお、平成26年12月現在の税制・関連法令等に基づいて記載しています。)
>>相続税の増税は、まだある? 今後、どのように備えるべきか?