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欧州でプレーする日本人選手のシーズン前半総括・後編(2ページ目)

欧州主要リーグが、ブレイク期間を迎えた。各国リーグに在籍する日本人選手のシーズン前半戦を総括する後編は、イタリア、イングランド、オランダなどでプレーする選手に触れよう。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

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川島、ハーフナーらは苦境に立つ

イングランド・プレミアリーグでプレーする吉田麻也(26歳)は、シーズン開幕当初はセンターバックの一角としてスタメンに名を連ねた。しかし、9月20日のリーグ5節で負傷してしまい、10月中旬の戦列復帰後も控えに回ることが多くなった。

それでも、11月下旬から出場機会を増やしてきた。ベルギー代表のアンデルウェイレルトらとポジションを争いながら、17節終了時で8試合に出場している。12月20日のゲームでは今季リーグ戦初得点をマークし、チームも無失点で勝利した。リーグ戦で上位につけるサウサンプトンで、吉田は確かな存在感を発揮している。

吉田とともに日本代表の守備を構成する川島永嗣(31歳)は、所属するスタンダール・リエージュ(ベルギー)で難しい時期を過ごしている。シーズン途中の監督交代劇が引き金となり、10月下旬からスタメンを外れているのだ。

川島自身は現状を前向きにとらえているが、実戦経験の不足は日本代表のプレーにも影を落とす。冬の移籍市場で新天地を求めるのか。去就が気になるところだ。

シーズン途中での移籍が現実的になってきた選手もいる。ハーフナー・マイク(27歳)だ。

オランダ・エールディビジのフィテッセを昨シーズン限りで離れた長身ストライカーは、スペイン・リーガエスパニョーラのコルドバで飛躍を期した。ところが、2部降格ゾーンに沈むチームで、9月下旬からベンチ入りさえできない日々が続いている。すでに地元では日本復帰が報じられるなど、去就が騒がしくなっている。

ブラジルW杯後にスイス1部リーグのバーセルに加入した柿谷曜一朗(24歳)も、苦闘を強いられている。12月6日に前半戦の18試合を終えたリーグ戦で、9試合2得点の成績に終わっているのだ。

移籍1年目のシーズンだけに、すぐに結果を残すのは難しい。前半戦を助走として、来年2月再開後のリーグ戦で爆発したい。

辛抱の時間を過ごしているのは、田中順也(27歳)にも共通する。今夏に柏レイソルからポルトガルの名門スポルティングに移籍したが、リーグ戦出場はここまで3試合に止まる。

スポルティングは分厚い選手層を誇るチームだ。昨シーズンまで香川真司(25歳)と同じマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に在籍したポルトガル代表FWナニ、ブラジルW杯に出場したアルジェリア代表FWイスラム・スリマニ、コロンビア人FWフレディ・モンテーロらの実力派が並ぶ。加入1年目の日本人選手には厳しい環境であり、そうした選手とポジションを争う環境はレベルアップを促す。

とはいえ、ゲームから遠ざかるデメリットは見落とせない。現状打破の糸口を、早く見つけたいところだ。

定位置奪取を目ざす選手は、オランダにもいる。トゥエンテの宮市亮(22歳)である。

イングランドの強豪アーセナルに在籍する彼は、今年9月からオランダ・エールディビジへ活躍の舞台を移した。タッチライン際で勝負するウイングが重用されるオランダのサッカーは、爆発的なスピードを持つ彼が馴染みやすいリーグだ。

ところが、ケガの影響で実戦から遠ざかっていた時期が長かったため、宮市は本来のプレーを見せることができていない。移籍直後は期待値込みでスタメン起用されたものの、このところは途中出場やベンチ外が続いている。

シーズン中盤を迎えたチームは、すでに選手の序列が固まっている。宮市は左ウイングの控えという位置づけだ。交代のカードとして短時間で印象的なプレーを見せるところから、彼の逆襲は始まる。

>>久保裕也は欧州から五輪を目ざす

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