横浜F・マリノスは「自分たちのサッカー」を貫いた

2019年のJ1リーグは、横浜F・マリノスの優勝で幕を閉じた。昨シーズンは12位にとどまった名門が、2004年以来実に15年ぶりのリーグ制覇を成し遂げたのである。12月8日のシーズン最終節に決着したドラマを辿る。
 
横浜F・マリノス

2019年のJ1リーグは横浜F・マリノスが優勝を決めた(写真:アフロスポーツ)


横浜F・マリノスの15年ぶりのJ1優勝の要因として、2つの要素がクローズアップされている。

1つは「継続性」だ。就任2年目のオーストラリア人指揮官アンジェ・ポステコグルーは、「自分たちのサッカーを信じて戦ってきた」と言う。

では、横浜F・マリノスのサッカーとは何か。

攻撃力を前面に押し出すことである。12位にとどまった昨シーズンも、リーグ戦の総得点は優勝した川崎フロンターレに次ぐ56得点だった。一方で、失点も56を数えた。リーグワースト3位の失点が、上位進出を阻んでいた。
 
攻撃力を維持しながら守備を改善する──昨シーズンの課題は、チアゴ・マルチンスが担った。危機察知能力とスピードを併せ持つこのブラジル人センターバックこそは、F・マリノス優勝の立役者である。

彼とコンビを組んだ日本代表の畠中槙之輔の貢献度も大きい。畠中はリーグ戦全34試合に、チアゴ・マルチンスは同33試合に出場している。中盤の底で攻守のバランスを整えた主将の喜田拓也も、33試合に出場した。

チーム全体が攻守にハードワークしたのはもちろんだが、彼らの献身性が大きな支えとなったのは間違いない。安定した守備を手に入れたことが、2つ目の要因である。
 
そのうえで、攻撃陣が力を発揮した。ともに15ゴールで得点王を分け合ったマルコス・ジュニオールと仲川輝人に、エリキとマテウスを加えたカルテットは、それぞれがスピードと決定力を併せ持っていた。7月下旬までに11得点をあげていたエジガル・ジュニオが戦線離脱すると、すぐにマテウスを名古屋グランパスから補強したフロントの対応も称賛されるべきだ。

 

FC東京はラストスパートをかけられず

F・マリノスとともに最終節まで優勝の可能性を残したのは、長谷川健太監督が率いるFC東京だった。失点をリーグ2位タイに抑えた堅実な守備を強みに、シーズン序盤から優勝争いを牽引してきた。

着実に勝点を積み上げていく中で、夏にふたりの主力を失う。シーズン開幕から定位置をつかんだ久保建英がレアル・マドリード(スペイン/現在はマジョルカへ期限付き移籍中)の一員となり、森重真人とともに守備を束ねていた韓国人CBチャン・ヒョンスもアル・ヒラル(サウジアラビア)へ移籍した。

それでも、新旧の日本代表をズラリと揃える布陣でリーグ制覇へ突き進み、最終的に過去最高となる2位でフィニッシュした。ベストイレブンにF・マリノスを上回る6人が選出されたのだから、FC東京もまた2019年シーズンの主役と言っていい。

F・マリノスとの比較で浮き彫りになるのは、シーズン中盤から終盤の戦いぶりだ。ポステコグルー監督のチームは24節から11戦負けなし(10勝1分)で駆け抜けたが、FC東京は4勝4分3敗とラストスパートをかけられなかった。ラスト3試合は2分1敗に終わっている。得点源のディエゴ・オリヴェイラがシーズン中盤以降は得点から遠ざかり、日本代表FW永井謙佑も得点ランキングの上位へ食い込めなかったことが、結果的に響いたといえる。

 

J1残留争いも最終節までもつれて…

J1残留争いも最終節までもつれた。

勝点36で14位のサガン鳥栖、同36で15位の清水エスパルスの直接対決は、後半に清水が先制する。他会場では16位の湘南ベルマーレが、試合終盤の85分に1対0とした。この時点で湘南がJ1に残留できる15位に浮上し、鳥栖がJ2チームとのプレーオフにまわる16位に後退した。

ところが、湘南は90分に同点弾を喫し、勝点36で全日程を終える。清水に敗れた鳥栖も同勝点に終わるが、得失点差で鳥栖が15位となり、J1残留を確定させたのだった。

湘南が臨むプレーオフは、12月14日に行われる。対戦相手はJ2リーグ4位の徳島ヴォルティスだ。2019年シーズンのラストマッチは、文字どおりのサバイバルマッチとなる。
 

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