燃費重視からスポーツ走行まで自由自在なWRX S4
エンジンは、300ps/5600rpm、400Nm/2000-4800rpmを誇る2.0L直噴ターボ「DIT」は、街中でSIドライブを「I(インテリジェント)」モードにしている分には、拍子抜けするほど普通。スポーツセダンといえども燃費重視モードが誰でも容易に享受できるのは今の時代マストだ。
その強心臓の片鱗が味わえるのは、「S」モード以上で、高速道路に乗れば痛快な加速感、そして「S♯」モードにすればさらに迫力を増す加速フィールとダイレクト感のあるシフトフィールを味わえる。「S♯」モードで高速道路やワインディングを走ると、WRX S4は「WRX」なんだと思い知らされる。
また、CVTとしてはかなりスポーティな変速が自慢の「スポーツリニアトロニック」は、CVTにありがちな「サウンドだけ高まってスピードが付いてこない」という、悪癖はほとんど顔を出さない。「S♯」モード時は8速の固定段になり、1段ごとのステップ比を小さくしてクロスレシオ化されている効果を実感できる。
しかも、VWのDSGのようなDCT(デュアルクラッチ)のような、極低速域のギクシャク感とは無縁なので、DCTの変速フィールほどのダイレクト感には機構的に及ばないものの、誰もが扱いやすい仕上がりだ。
静粛性に関しては、普通に流れに乗っている分には最新セダンらしい上質さを味わえる。この点も意外に「普通」と思わせる要因だろうが、WRX S4に乗る人が絶えず吹っ飛ばすわけではなく、毎日の足として十分に使える洗練度合いを備えているのは朗報だ。
大人4人にジャストな室内空間
バケット状のフロントシートは、ホールド感は良好でランバーサポートが備わるのも腰痛持ちの筆者にはありがたかった。後席も頭上、足元ともに身長180cmの人が前後席にきちんと座れる空間が確保されている。
荷室は先代よりも40Lアップされ、ゴルフバッグが従来の3つから4つに増えても積み込めるなど積載性が向上しているが、床下に駆動用バッテリーを積むハイブリッドでもなく、全長が4.6mに迫り、全幅も1.8m近いサイズとなると、さすがにゴルフバック4セットは必要不可欠だろう。
今回、気になった乗り心地に関しては、「ビル足」の「2.0GT-S EyeSight」ならもう少し引き締まっているのかも知れないが、WRXを拡販していくなら、もう少しWRX STIよりもコンフォート方向にセッティングしてもいいのではないだろうか。