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市町村消滅のニュースをチャンスに変える(前編)

以前、「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会が発表した推計が波紋を呼びました。それは、人口流入や少子化が止まらなければ、896の自治体が消滅の危機にさらされるというものです。しかし、ネガティブな情報の裏側には必ずポジティブな側面があるはず、という視点で考えてます。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

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危機というニュースも、発想の転換でチャンスに

以前、「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会が発表した推計が波紋を呼びました。その内容は、地方から大都市圏への人口流入や少子化が止まらなければ、約1800の市区町村のうち896の自治体が消滅の危機にさらされるというものです。

出産人口の95%を占める20~39歳の女性人口が2010年と比べ、2040年に5割以下に急減するためだそうです。女性が減れば子どもが減り、それは人口減少につながる。すると税収が減り、行政サービスを提供できなくなる、というロジックだと思われます。

この発表で名指しされた市町村は、狼狽したり反論したりといったさまざまな反応があったようです。しかし、ネガティブな情報の裏側には必ずポジティブな側面があるはず、という視点で考えてます。

激安住宅が増加し住居コストが減る

このニュースによって導くことができるひとつの示唆は、激安住宅の増加による、生活コストの圧縮です。

市町村が消滅するとは行政から見放されるということに等しいので、当該地域に住んでいる高齢者は困るでしょう。しかしまだ元気な世代にとっては、1つのチャンス。

現時点でも住宅は余っており、全国で800万戸の空き室がある状況ですが、それがますます増えていく。つまり地方には、激安で買える・借りられる住居が増えるからです。試しに不動産のポータルサイトで検索すると、地方郊外では300万円の中古戸建てや家賃1万円の住宅がけっこうヒットします。ここから価格交渉が入ることを考えると、実際の成約価格はもっと下がるはず。

もちろん住めるようにするには修繕費がかかるとか、電気や上水道くらいはないと困る、といったことはあると思います。とはいえ、こうした地域に移住すれば、住居費をぐっと抑えることができるでしょう。

たとえば3000万円の住宅ローンを組んだとしたら、毎月10万円のローン返済が35年間も続き、金利を含めた返済総額は4200万円にものぼります。が、激安住宅に住めばこの金額が浮きますから、自分の人生の充実のために使うことができます。経験できることの幅と深さがぐっと増します。

あるいは、平日は都会の狭い家に住んでいたとしても、田舎に広い家を持つことで、都市と自然のデュアルライフを現実のものとすることもできます。これは子育て世代やアウトドア志向の人にとっては魅力で、実際にそうしている人は東日本大震災以降、増え続けています。

このように、「危機」というニュースが、発想を転換すればメリットになる、という人もいるのではないでしょうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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