子育て/子どもの発達障害・グレーゾーン

子供の"強いこだわり"を上手に利用するには

自分なりの儀式を経ないと外出できない、ものの置き方にこだわる、同じ道を通らないと園に行けない、など子供の強いこだわりは親にとってイライラする原因のひとつです。無理にでもやめさせたいのは山々ですが、そのこだわりを上手に利用する方法を一緒に考えてみましょう!

原 佐知子

執筆者:原 佐知子

子育てガイド

なぜ子供が強いこだわりを持つのか考えてみましょう

子供の"強いこだわり"を上手に利用するには

子供の"強いこだわり"を上手に利用するには

こだわりってなんでしょう? この文章を読んでいるあなたにも、何かしらこだわるものがあると思います。大好きな作家の本、お気に入りの化粧品、水回りを清潔にすること、などなどその人なりのこだわるものごとってありますよね。
 
高い所や危険なものが好き

高い所にこだわる子どもも多くいます。

小さい子どもの場合、こだわりとはそれをすることで安心していられること、もしくは、それを見ていると落ち着いたり、幸せな気分になるものなんだと思います。なので、安心した環境で過ごすことができれば、そのこだわりがなくても過ごせるかもしれません。また、こだわりの行動を制御することができるようになるでしょう。

特に、発達に凸凹がある子ども、【気になる子】と言われている子どもには、そのこだわりに対する執着が強い傾向があります。生活の中で、それが原因でうまくいかないことも出てきます。

よく見られるこだわりには、電車、数字や記号、キャラクターなど特定のものに執着する、ゲームをしたりアニメを見ることを延々と続けている、いつもの決まった行動をしないと他のことができない、などがあります。例えば、ミニカーコレクション50台くらいを常にリュックに入れて持ち歩き、ひとつでもなくなると大騒ぎになる子もいます。また、同じ電車のDVDを1日中見ていて、消すとパニックになる子もいます。

出かけなくてはいけないのに、好きなゲームにこだわりやめられない、園にいくとき同じ道を通らないと行けない、自分の決めた時間通りに行動しないといけない、同じ服しか着ない、同じものしか食べない、などなど。子供の激しいこだわりの中には、お母さんが困ってしまうことはたくさんあります。
   

やめさせたいこだわりと、やめなくてもよいこだわりがある

まずは、こだわりを2種類に分けてみましょう。ひとつはそのこだわりによって、周囲に迷惑をかけないもの。もうひとつは周りの人が困ってしまうもの。

例えば先ほどの同じ服しか着ないなどは、周囲に迷惑をかけるものではありません。誰かがそれによって迷惑をこうむっているのでなければそのままでよいでしょう。同じ服を2枚買っておけば何とかなります。

ほかにも、出かける時間を例えば8時15分と決めたら、何がなんでもその時間に出かけないと気がすまないというこだわりもあります。園などに遅刻しなければ、周囲がその時間に合わせればよいだけです。それで遅刻してしまうのであれば、周囲に迷惑をかけることになります。

問題は、状況に合わせて柔軟に行動しなければならない時にこだわりが発生して行動が制限されること。そもそも、こだわりはそうしないと不安が大きいから固執するのです。環境を整え、不安を減らすことを考えましょう。
 

子どもの強いこだわりを上手く切り替える/上手に利用するには

同じ予定にこだわる子供の場合、いつもと違う予定が入った際は何日か前から変更する予定に慣れさせましょう。

例えば、「いつもは電車で移動するのをバスで移動する」ということであれば、その日の数日前から、乗る予定のバス停にバスを見に散歩に行き、次の日にはひと区間だけ乗ってみるなど、バスに乗るまでを段階を踏んで練習し、慣らしていきます。また電車の映像が大好きで、いつまでも見ていても止めない場合、例えばタイムタイマーや砂時計など時間の流れが見てわかるものを使い、最初は30分、次は25分など少しずつ時間を区切って、見る時間を減らしていきます。また、ご飯の時は見ない、お姉ちゃんが帰ってアニメを見る時間は見ないなど、見ない場合のルールを作ります。本人が納得できるように、視覚化することがポイントです。

大事なのは、いろいろな手助けをしつつも、上手くこだわることなくできたら、その時はしっかりその行動をほめて、強化することです。

またこだわりを上手に利用するということも考えましょう。

出かける時間にこだわる場合、出かける時間までの朝のスケジュールを立てます。出かけるまでの行動を細分化して、1つずつこなしていくようにしましょう。スケジュール通りに行動することで、生活習慣ができます。他にも、水が大好きな子どもにお風呂掃除やトイレ掃除をやってもらう、電車が好きな子どもには、電車の駅名カルタを作って、字を覚えることに利用するなど、その子どものこだわりを利用して、よい行動に結びつけることもできます。
 

こだわりはやりかた次第で強みに代わる

こだわりは、好きなこととリンクしています。

例えば、ゲームへのこだわり。ゲームの操作方法など、誰にも教えてもらわなくても理解します。こだわりの強かったうちの息子は、4歳で携帯ゲームが1人でできました。そのおかげで、ひらがなもカタカナも読めるようになりました。キャラクターについて詳しく調べるうちに、生物や動物についての知識が付きました。携帯ゲームからテレビゲーム、ネットのゲームなど、数々のゲームの仕組みを理解し、将来はゲームクリエーターになるために、大学受験も意欲的に取り組み、第一志望の大学に行っています。

好きなことに関しての集中力や意欲は周囲が驚くほどです。それを生かしていくことを考えましょう。数字が好きな人が、大学の数学の研究者になったり、電車の好きな人が、鉄道会社に入ったりしています。子どもの頃、落ち着きがなくて大変だと言われていた人が、有名スポーツ選手になったという話もよく聞きます。

子どものこだわりをどう生かすか、それは周囲の力にかかっているのです。


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