行政書士試験「憲法」の問題点

国家試験の憲法の勉強の指針は、昔から「人権判例、統治条文」と言われます。この傾向は行政書士試験にもあてはまります。しかし行政書士試験の憲法は、平成26年度試験もそうでしたが、他の国家試験と比べると難問・奇問が出題されます。そういった問題に眼を奪われて勉強法に悩む受験生が多いのです。しかし基本を押さえれば、5問中2問を得点することが可能ですので、確実に点数を稼ぎたいところです。そこで、今回の「人権」と次回の「統治」の記事では行政書士試験の憲法の基本を確認します。なお、この記事は憲法を一通り学んだ方を対象としています。

判例対策1 違憲判決を覚える

はじめに述べたように人権は判例中心に出題されます。判例問題は、違憲か合憲かという結論が最も出題されます。違憲判決は圧倒的に少数なので、数が少ない違憲判決を暗記することが効率的です。以下は、行政書士試験に出題される可能性のある違憲判決です。わかりやすくするため、違憲判決の数でまとめてみました。括弧書きの年月日は最高裁の判決年月日です。

<違憲判決数がゼロ>
・思想・良心の自由(19条)
・学問の自由(23条)
・表現の自由(21条)
この3つについては違憲判決がありません。これを知っているだけでも問題が容易に解け、回答時間の短縮ができるので、ぜひ暗記してください。

<違憲判決数が1つ>
・職業選択の自由(22条)・・・薬事法距離制限事件(昭和50年4月30日)
・財産権(29条)・・・森林法共有林事件(昭和62年4月22日)
・受益権(16条、17条、32条、40条)・・・郵便法免責事件(平成14年9月11日)
・人身の自由(31条~39条)・・・第三者没収事件(昭和37年11月28日)

<違憲判決数が2つ>
・信教の自由(20条)のうち政教分離・・・愛媛玉串料事件(平成9年4月2日)、空知太神社事件(平成22年1月20日)

<違憲判決数が3つ>
・法の下の平等(14条)・・・尊属殺重罰事件(昭和48年4月4日)、非嫡出子国籍法取得制限事件(平成20年6月4日)、非嫡出子相続分不平等事件(平成25年9月4日)
・参政権(15条)・・・在外邦人選挙権制限事件(平成17年9月14日)、衆議院議員定数不均衡事件(昭和51年4月14日、昭和60年7月17日)

判例対策2 違憲判決の知識を使って問題を解く

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憲法の判例は重要ですが、出題形式に合わせて勉強しましょう。

違憲判決の知識を使って、問題を解く手順をご紹介します。ここでは、尊属殺人重罰規定事件を取り上げます。

1、判例の識別
問題文からキーワードを探して判例を識別します。尊属殺重罰事件ならば、「尊属」というキーワードが問題文に必ずあります。これによって、尊属殺重罰規定の判例と識別できます。

2、結論のチェック
判例を識別できたら、途中の問題文を飛ばして、結論をチェックします。尊属殺重罰事件は、違憲判決が出されていますから、問題文が「合憲」となっていれば、この段階で選択肢は誤りです。

3、違憲理由のチェック
問題文の結論が「違憲」となっていれば、結論に誤りはないので、違憲理由をチェックします。尊属殺重罰事件は、刑法の尊属殺重罰規定は「目的は合憲だが手段が違憲」という判断をしました。よって、「目的が違憲」となっていれば、この段階で選択肢は誤りです。

このように、判例の識別をした上で、結論のチェック、違憲理由のチェックという順番に判断すれば時間を短縮できます。その他の違憲判決の知識も、上記のようにパターン化することをお勧めします。