「アナと雪の女王」がもっと楽しめる
『雪と氷の大研究』で科学の視点を持とう!
大ヒットしたディズニーのアニメ映画「アナと雪の女王」は、キャラクターも音楽も大人気ですが、その映像― 特に雪と氷の描写にもぜひご注目ください。横なぐりの雪、湖に張った分厚い氷、霜のびっしりとはり付いた窓ガラスなど、どれも効果的に使われていますが、物質としては、本当に自然界にあるものばかりです。
雪の日の寒さや氷の冷たさは、子どもたちもおなじみのはず。けれど雪や氷についてもっと詳しく知ることで、画面のちょっとした雪の動きや形、つららや氷柱の質感などが、映画の中でいかにリアリティー高く再現されているかが分かるでしょう。
雪と氷について学ぶ第一歩としておすすめなのが、『雪と氷の大研究』(片平孝著/神田健三監修. PHP研究所)。
この図鑑で、知識があることでさらに楽しめる世界があるということを、子どもたちに実感してもらいたいと思います。
宝石にモンスター!? 冬の魅力がつまった『雪と氷の大研究』
『雪と氷の大研究』の特徴は、写真の美しさと面白さ。雪景色や雪の結晶がきれいなのはある意味想定内かもしれませんが、屋根の雪がずり落ちながらできた「巻きだれ」、たくさんの気泡を閉じ込めながらはった氷など、パラパラめくっただけでも、大人でもびっくりするようなインパクトのある写真が目に飛び込んできます。「冠雪」と「着雪」の写真(P.16-17)。風向きと雪に含まれる水分の量によって、様々な形になるのです
解説は丁寧で、過不足なくまとめられています。図表もとても分かりやすく、自由研究やレポートなどお子さんが自分で図表を書く際の参考図表としても適しています。
水の状態変化や雪の降る仕組み、池・湖だけでなく流れのある川や滝に異なった形の氷ができていく過程、日本に雪が多い理由など、基本的な事柄の説明はもちろん、雪が電線にぐるりと巻きつき線を覆い隠してしまう「電線着雪」のでき方や、冷蔵庫で氷を作り出てくる形(アイスフラワー)を観察する方法など、ちょっと珍しい事例も紹介されています。
樹氷とモンスターの写真(P.50-51)。霜・つらら・霧氷など、ものにくっついて成長する氷もあれば、さらにそこに雪が付着して大きくなることも
何によらず本物に勝るものはないのかもしれませんが、雪や氷は住む地域により見られる現象が異なりますから、本や映画で楽しむのもまた一つの方法です。また雪や氷については、多くの条件が重なって初めて現れるという現象も多いので、写真ででも見られるというのはうれしいことですよね。
『雪と氷の大研究』を読んでから「アナと雪の女王」を見てみると、雪や氷の質感やつららの形、雪の降り方などにも目が行くようになります。それから、アイス・パレス(氷の城)の床やエルサのケープなどに用いられている雪の結晶のモチーフを、あちこちで見つけられるように!
ほんの赤ちゃんの頃から、自分の知っているものを見つけ出すのが大好きな子どもたち、図鑑で得た新たな「科学の目」で様々な発見ができることでしょう。視覚的に楽しめるのが図鑑の良いところ、文字が読めない小さな子でも、雪の結晶やつららを喜んで見ています。
ほんの少し知識が増えるだけで、今まで見えなかったものが見えてくる― 『雪と氷の大研究』で、そんな喜びを実感していただきたいと思います。
■1年中雪が楽しめる施設はこちら!
- 雪の科学館 「雪は天から送られた手紙」ということばで有名な、日本を代表する雪の科学者中谷宇吉郎博士の業績を中心に展示された科学館。子ども雪博士教室などのイベントもあります。
- 雪の美術館 中世ヨーロッパのお城のような外観の、螺旋階段が美しい美術館。雪の結晶をイメージして作られているせいか、「アナと雪の女王」の世界のイメージにぴったりと話題になっています。小さな図書コーナーもあり、落ち着いた雰囲気で雪を楽しむことができますよ。