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日本の大型株を投資対象とする投信が躍進

日本銀行の追加緩和が2014年10月31日に行われたため、10月の日本株に与えた影響は軽微でしたが、11月は追加緩和の風が吹きまくった1ヵ月でした。1ヵ月という短期の騰落率とともに、10年という長期の騰落率を見ていくことにしましょう。ランキング上位は全く違った顔ぶれです。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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野村アセットマネジメントが席捲

2014年11月には日本株の上昇とともに、急速に円安/米ドル高が進んだ1ヵ月でした。このため11月の1ヵ月の騰落率ランキングを見てみると、日本株の大型株を投資対象としているファンド、かつ通貨選択型の投資信託が好調だったようです。また、11月の半ば以降、中国A株(上海A)が急騰していることから、中国A株を投資対象としている投資信託もランクインしています。

図は騰落率ランキングベスト10ですが、ベスト20まで対象を広げると、野村アセットマネジメントが運用する「野村通貨選択日本株投信」「野村日本ブランド株投資(通貨選択型)」が、複数の通貨、複数の決算タイプをランクインさせています。また、ベスト20までの半分が同運用会社の投資信託という状況ということも付け加えておきましょう。ランクインした投資信託に偏りがあることから順位は僅差の違いでしたが、月間の騰落率は全て二桁以上と良好な運用成績でした。

月間の騰落率

月間の騰落率


第1位は騰落率21.63%、ドイチェ・アセット・マネジメントが運用する「日興DWSエマージング・ニューディール・ファンド」でした。同投信は、新興国のインフラ・消費関連企業を投資対象としますが、中国はA株にも実質投資されることから、中国A株の急騰に乗ったと思われます。

第2位は騰落率20.57%、野村アセットマネジメントが運用する「野村3.5倍ブル・ベア(日本株3.5倍ブル)です。言わずと知れた、日経平均株価の日々の値動きの3.5倍の収益が期待できる投資信託です。日経平均株価は11月の1カ月間、10月末比で1046円9銭、6.37%上昇したことが好成績の要因です。

第3位は騰落率19.67%、三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する「ドル好感企業日本株オープン(米ドル投資型)」です。同投信は、円安/米ドル高局面で上昇が期待できる日本株に投資するとともに、円売り/米ドル買いの為替取引を行って、米ドルへの投資効果を追求する投資信託です。

上位3本は三者三様ですが、4位以下には先に述べた偏りが見られます。またETFを含めると、第1位は野村アセットマネジメントの「上海株式指数・上証50連動型上場資信託」で、騰落率は22.67%でした。

10年騰落率は中国株が上位を占める

通貨選択型投資信託が初めて設定されたのが2009年1月。全ファンドの純資産総額こそ11兆円を超えているものの、2015年1月で満6歳となる比較的歴史の浅いカテゴリーなので、長期の騰落率に顔を出すには時間が必要になります。

10年の騰落率

10年の騰落率
 

10年の騰落率を見ると、中国株、バイオ関連企業を投資対象とする投資信託が目立ちますが、唯一、日本株を投資対象とするJPモルガン・アセット・マネジメントが運用する「JPMザ・ジャパン」が第7位に入っています。11位にも同運用会社の「JPM・E‐フロンティア・オープン」が入っていることから、日本株も検討していると言えます。共に日本の小型株を主として投資対象としていることから、長期スタンスでは大型株よりも中小型株を投資対象とするファンドに期待したほうがよいのかもしれません。

10年間の年率換算リターンの第1位は、JPモルガン・アセット・マネジメントが運用する「JPMチャイナ・アクティブ・オープン」の15.74%でした。第2位は、フィデリティ投信が運用する「フィデリティ・チャイナ・フォーカス」。第3位は、同じくフィデリティ投信が運用する「フィデリテイ・アジア株・ファンド」でした。第3位の投資信託も、中国株を投資対象の上位に組み入れていることから、事実上ベスト3は中国株ファンドといっていも過言ではないと思われます。

第4位、5位にはバイオ関連業を投資対象とするテーマ株型がランクインしていますが、先に述べた第7位の日本株ファンドを除くと、全て中国株を投資対象としている投資信託ばかりです。2014年は先進国株の年だったように感じられますが、主要国の株価上昇率を比較すると、実は新興国株の上昇率は軒並み二桁と先進国を大幅に上回っているのです。

資産形成においては、先進国の高成長が期待できにくくなっていることから、新興国株を資産の一部に組み入れていく必要はより高まっていると思われてなりません。
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