絵本

「あったらいいな」が詰まってる絵本『うそだあ!』

子どもの頃、空想の中で冒険したりお姫さまになったりした経験はありませんか? そんな空想の楽しさいっぱいの絵本『うそだあ!』をご紹介します。主人公の僕の話は嘘だと笑われる空想話だったのでしょうか? それとも……?

執筆者:大橋 悦子

力いっぱい嘘をついたら楽しい絵本になっちゃった?!

子どもの頃、空想の中で冒険をしたりお姫さまになったりした経験はありませんか? 大人は嘘だと笑ったけれど、子どもにとって空想の世界は心躍るワンダーランドでした。そんな空想の世界の楽しさが詰まった絵本『うそだあ!』をご紹介します。主人公の僕の話は、嘘だと笑われる空想話だったのでしょうか? それとも……。

その嘘、本当?『うそだあ!』

『うそだあ!』の表紙画像

「ありえないこと」が子どもたちをワクワクさせる絵本

バナナをむいたらチョコバナナになっていて、水道からはオレンジジュースが出てくる?! おまけに、ひょんなことからアメリカ大統領や火星人に出会って歓待を受ける?! 本当かなあ? 主人公は、絶対にあり得ないことやそんなはずないと思う出来事を次から次へと語ります。

そのたびに、「うそだあ!」と叫ぶもう1人の男の子。その表情が何ともユーモラスで、2人の掛け合いの面白さも加わって、まるで正統派の漫才を見ているような楽しさです。せっかくですから、その漫才をまねて、ちょっとお話にツッコミをいれてみましょう。
  • アメリカ大統領というけど、オバマさんというよりノッチさんなんですけど……。
  • 今どき、あんなタコみたいな火星人、誰も信じないでしょ?
  • お腹がふくらむとおへそが抜けるって、おへそはワインのコルク栓か?!
こんな風に「なんでやねん?」とつっこみたくなるような作り話が、テンポよく続きます。

ホワイトハウスの外観

アメリカ大統領に会ったって、まさかホワイトハウスで? うそだあ?!

内容だけ見れば他愛もないお話なのですが、ひとたび聞き手の前で声を出して読んでみると、この作品に対する印象が変わります。読み手の「うそだあ!」が繰り返されるにつれて、聞き手からも「え~、マジで?」「うっそ~!」と大きな声があがり始めます。まるで、本当の漫才のように両者の掛け合いもボルテージが上がってくる……そんな聞き手参加型絵本だということに気付くのです。

さて、あり得ない方法で宇宙旅行までしてしまった男の子とその友だちが迎える予想外のラストに、小さな読者はどんな声をあげるでしょうか? もしも、絵本の中には書かれていない「うそだあ!」の声が聞き手から発せられたら、作者は大喜びするに違いありません。そんな嘘のようなラストをどうぞお楽しみに! いきいきと描かれたダイナミックな絵も魅力のこの作品は、大勢の子どもたちへの読み聞かせにもピッタリです。


【書籍DATA】
サトシン:作 山村浩二:絵
価格:1404円
出版社:文溪堂
推奨年齢:4歳くらいから
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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