年金

年金と税金~確定申告時期のチェックポイント(3ページ目)

確定申告は1年間の所得に対する税金を申告・納付する手続きです。自営業者やフリーランスにとっては毎年定期的に行う手続きですが、年金受給者にも手続きが必要な場合があります。また、自営業者やフリーランスは負担した年金の掛金が納税額に影響する場合があります。年金と税金の関係をみていきます。

原 佳奈子

原 佳奈子

年金入門 ガイド

社会保険労務士

年金・社会保障を軸とした将来生活設計に関する講演・執筆などを行う。また、幅広い業界で企業研修の企画・実施コンサルに携わりながら、公的年金の他、企業年金・個人年金、さらには老後を視野に入れた資産形成に関する啓蒙及び教育活動に携わる。

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年金受給と税金の関係

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年金受給との関係をチェックしましょう

次に、年金の受給と税金の関係をみていきましょう。公的年金には税金がかからないと思っている人もいますが、税金のかからない公的年金は障害年金と遺族年金で、老齢年金は雑所得として課税されます。同様に、民間の個人年金保険や国民年金基金の老齢給付も雑所得として課税されます。

課税所得の種類は公的年金も民間の個人年金保険も同じですが、年金収入から差し引くことができる控除額(必要経費)の考え方が異なります。公的年金の場合は年金収入から公的年金等控除を差し引くことができます。
公的年金等控除計算式

(クリックすると拡大します)

また、公的年金から公的年金等控除以外に自分自身の基礎控除(38万円)を差し引くことができるので、年金収入のみであれば65歳未満では108万円まで、65歳以上では158万円までは所得税が課税されません。

なお、国民年金基金の老齢給付は、公的年金と同様、公的年金等控除を差し引くことができます。事例のサイトウさんは老齢基礎年金と国民年金基金の老齢給付を受け取ったら合算して公的年金等控除を差し引きます。サイトウさんは65歳から老齢基礎年金を77万2,800円(平成26年度額)、国民年金基金の老齢給付を54万円受給するので、合計額は131万2,800円になります。公的年金等控除と基礎控除を合計した158万円を下回るので、現在の税制では所得税がかかりません。
 

年金受給と確定申告

現在は、公的年金等(公的年金、企業年金、国民年金基金の老齢給付など)を合計して400万円以下、かつその他の所得が20万円未満の場合は確定申告を行う必要がありません。確定申告が必要となるのは、扶養親族等申告書(注1)で申告できない生命保険料控除や医療費控除といった他の所得控除を受ける場合と、年の途中で扶養親族等の数に変更(注2)があった場合です。

注1)扶養親族等申告書とは、扶養する配偶者や親族の状況、自身の障害の状態などを日本年金機構に申告する書類です。毎年10月頃に日本年金機構等からはがきで送付され、該当項目をチェックして返送します。
注2)扶養親族等が年の途中で死亡した場合、その死亡した年は扶養親族等として控除を受けることができます。

確定申告は毎年2月16日から3月15日までに所轄の税務署で手続きしますが、申告書の作成は国税庁のHPから行うこともできます。作成した確定申告書は窓口提出だけでなく、郵送での提出や電子申請も選択できます。

また、年金の確定申告には、添付しなければならない書類があります。まず、毎年1月に日本年金機構等から送付される公的年金の源泉徴収票が必要です。源泉徴収票はコピーではなく、原本を添付しなければなりません。生命保険料控除や医療費控除も保険料の払込証明書や領収証が必要です。また、家族の国民年金の保険料などを納付し、確定申告する場合は日本年金機構から送付される控除証明書が必要です。確定申告までに必要な書類がそろっているか確認しておきましょう。

ご案内した通り、年金と税金の関係は保険料・掛金納付時から年金受給時まで長期間続きます。チェックポイントとなる点をよく確認し、自営業者やフリーランスにとって、有利に老後資金準備を行っていくとよいでしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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