腸脛靭帯炎、ランナーズニーの症状

健康のために始めたランニングで膝を痛めてしまうのは避けたいもの。ランナーズニーへの対処法を考えます。

健康のために始めたランニングで膝を痛めてしまうのは避けたいもの。ランナーズニーへの対処法を考えます。

趣味でランニングを行う方は年々増え、ブームというよりもライフスタイルとして生活に根付いてきたような印象を受けます。日頃の運動不足解消・ストレスの発散・体力の向上など様々な効果があることがわかっているランニングですが、膝に痛みを感じながら行っている方や、痛みでランニングから遠ざかってしまう方もたくさんいらっしゃるようです。

膝の痛みの原因は様々ありますが、ランニングを趣味とする方に多く発生するものとして、腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)があります。腸脛靭帯炎はまたの名をランナーズニーと呼ばれる程で、その発生原因は不適切なランニング動作と密接に関係していると考えられています。

腸脛靭帯はその名前の通り腰骨のでっぱりである腸骨(ちょうこつ)から、脛骨(けいこつ)の外側上端付近に付着しています。太ももの外側をさすると固いバンドのようなものが触れられますが、これが腸脛靭帯です。膝のお皿の外側などではかなりはっきりと触ることができます。

この腸脛靭帯は太ももの骨である大腿骨の最も身体から遠い部分である大腿骨外側顆という骨のでっぱりの上を通過して脛骨に向かうのですが、ランナーズニーの方の場合には腸脛靭帯がバンドのように固く緊張しているため、この骨のでっぱりとこすれ合ってしまうのです。そのため、ランナーズニーで痛みが発生する部位は膝そのものというより膝のお皿の外側やや上付近になります。


ランナーズニーのセルフチェックと原因

簡単にできるセルフチェックの方法としては、膝を90°曲げた状態で膝の外側を走る腸脛靭帯を押さえ、そのまま膝を伸ばしていきます。この際にランニング時に感じる痛みが発生すれば、ランナーズニーであると考えられます。

また、この付近に発生する痛みの原因となる膝関節外側側副靭帯損傷や外側半月板損傷などもありますので、痛みが気になる場合にはセルフチェックで済まさず医療機関を受診することをおすすめします。

さて、腸脛靭帯炎の原因はこの靭帯そのものが緊張するためであることは先ほど触れましたが、なぜこの靭帯が緊張してしまうのかを考えていきましょう。

まず、腸脛靭帯は膝の外側を走行しており、身体が外側に揺れるような動きが加わると緊張し、大腿骨のでっぱりと強くこすれ合うことになります。このことから、ランニング時のシューズの偏ったすり減りや、ランニングコースの路面の傾きや凹凸が原因の一つとなることが考えられます。まずはランニングを行う環境や用具を整える必要があります。

次に、筋肉のオーバーユースや柔軟性の低下などの身体的な因子も原因として考えられます。腸脛靭帯は主に、大腿の上前方にあり股関節を曲げたり開いたりする力を持つ大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)という筋肉と、大殿筋というおしりに存在する筋肉の収縮により緊張が増すことが分かっています。

この二つの筋肉はランニング時に左右の動揺を防いだり、身体を前方に推進させるために使われます。しかし、先にもお伝えしたように不適切な用具の使用や不整地でのランニングにより過剰な働きをしたり、不適切なフォームでのランニングにより機能が低下してしまいます。また、ランニング後にストレッチングやマッサージなどのケアを怠ると筋内の循環が低下したまま放置され、筋柔軟性の低下を招きます。こうした柔軟性の低下が腸脛靭帯の緊張を高め、ランナーズニーを引き起こす一因となるのです。