(3)みなし労働時間・裁量労働制
変形労働時間制の他にも、特殊な労働時間制度として、みなし労働や裁量労働があります。
○事業場外労働のみなし労働時間制
- 営業職の人が外勤する場合など、社外で働いているために、会社の上司などの管理者がその労働時間を把握できない場合に、実際の労働時間数とはかかわりなく、原則として所定労働時間働いたものとみなす制度です。
- 社外で働いている場合でも、逐一電話などで業務の具体的指示を受けていたり、管理者が同行したりしている場合などは、労働時間を把握することができるので、このみなし時間は適用されません。
○専門業務型裁量労働制
- 研究開発の仕事など、仕事の進め方や時間配分などを働く人の裁量に任せることにより、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使間の合意で定めた時間働いたとみなす制度です。
- この制度が適用される業務は、法律で定められたものに限られます。
- 労使協定で定めます。
○企画業務型裁量労働制
- 本社の企画業務の仕事など、仕事の進め方や時間配分などを働く人の裁量に任せることにより、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使間の合意で定めた時間働いたとみなす制度です。
- この制度が適用される業務は、本社・本店等において一定の要件を満たした場合に限られます。
- 労使委員会を設置して定めます。
休日
法律上、最低限与えなければならない休日を、法定休日といいます。【法定休日】
▽毎週少なくとも1日、または4週間に4日
時間外・休日労働
法定労働時間(1週間40時間、1日8時間)を超えて働くことを「時間外労働」、法定休日(1週間に1日または4週間に4日)に働くことを「休日労働」といいます。会社が時間外労働・休日労働を行わせるには、必ず事前に労働者代表と労使協定を結び、労働基準監督署に届け出おかなければなりません。
この労使協定のことを通称「36(サブロク)協定*」といい、36協定のない時間外労働・休日労働は法違反となります。
*通称の由来は、この協定の法的根拠が労働基準法第36条にあるためです。
終わりに
昨今では、長時間労働や過重労働による過労死やメンタル不調が社会問題となっています。働く人が生き生きと働き、会社の永続的な発展を目指すには、会社と従業員が協力して、より良い労働時間制度を築くことが不可欠ではないでしょうか。
次回は、知らなきゃ損する「働く人の賃金」を解説します。