自動車保険

免責金額を工夫すれば、車両保険はぐっと安くなる!(2ページ目)

自動車保険の見積もりをとるとき、設定に迷うものの1つに「車両保険の免責金額」があります。免責設定と少額請求について解説します。

執筆者:柳澤 美由紀

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相手からの損害賠償金を充当して自己負担ゼロの場合

車同士の事故の場合

 


たとえば、図表3の衝突事故が起きたとしましょう。相手の修理代は100万円、自分の修理代が50万円、過失割合が「自分:相手=70%:30%」であったとき、あなたは相手から自身の修理代の30%(相手の過失割合分)である15万円が損害賠償金として支払われます。自身の車両保険の免責金額が「5-10万円」で、今回の事故が保険期間中初めての事故である場合、免責金額5万円よりも相手からの回収金が上回るので、車両保険からは修理費から回収金を差し引いた35万円が支払われることに。自己負担はゼロになります。

相手からの回収金が免責金額以上支払われる場合、自己負担は発生しません。回収金が免責金額未満の場合は、自己負担額から相手からの回収金を差し引いた金額が自己負担になります。示談が完了する前に車両保険の支払いがある場合、自己負担金額を差し引いた金額が一度支払われ、将来的に回収した金額を自己負担額に優先的に充当することになります。

一方、単独事故、当て逃げ、火災、いたずら、盗難、水災などの車同士の事故でない場合は、全損なのか、そうでないかで免責の取り扱いが異なります。全損の場合は自己負担ゼロです。車両保険金額全額が支払われます。全損でない場合は修理費用から免責金額を差し引いた残りが支払われます。
 

免責金額を高めにして「一般車両」に設定する方法もあり

Aさん:「免責金額を高めに設定しても、車同士の事故なら自腹をきることはあまりないのですね」

ガイド:「はい。車同士の事故で100対0になることは少ないと言われています。そういう意味では、車両保険の種類を『一般車両⇒エコノミー+A』にすることで保険料を軽減するよりも、免責金額を高めにして『一般車両』で入ったほうが盗難や単独事故などにも備えられます」

Aさん:「自己負担を少し増やせば、フルカバー型の車両保険も節約できるということ?」

ガイド:「はい。それからもう1つ、覚えておいてほしいことがあります。少額の保険金は請求しないほうがよいケースがある点です」
 

少額の保険金請求は損をすることも

加入している保険会社に保険金を請求すると、等級が下がって保険料が上がります。たとえば、次の更新で11等級になるAさんが10等級のときに車庫入れに失敗して10万円の修理費用が発生したとします。

加入している自動車保険で保険金請求をすると、「修理費用-免責金額」の保険金が支払われます。免責「5-10万円」にしていた場合、支払われる保険金は5万円です。しかし、保険金を請求したことで、等級は3等級ダウンして7等級(事故有料率)になります。

<保険金を請求した場合の1回払保険料>
現在(10等級)……5万7430円
1年後(7F級/事故有)……8万340円
2年後(8等級/事故有)……7万9350円
※車両保険免責「5-10万円」。等級、免責以外の前提条件は図表1と同じ

一方、保険金の請求をせずに更新した場合は次の通りになります。

<保険金を請求しなかった場合の1回払保険料>
現在(10等級)……5万7430円
1年後(11等級/事故無)……5万4450円
2年後(12等級/事故無)……5万3450円
※車両保険免責「5-10万円」。等級、免責以外の前提条件は図表1と同じ

2年間の保険料総額を比較したところ、保険金を請求した場合と保険金を請求しなかった場合とでは5万1790円の差があります。2年以上自動車保険を継続するのであれば、5万円の保険金を請求すると損をすることになります。このように保険金が少ない場合、請求しないほうがよい場合があります。運転に自信のある人やある程度の自腹覚悟で保険料を節約したい人は車両保険の免責金額を高めにするのもありではないでしょうか。
※本件ガイドが提供する記事は、特定の保険商品の募集を目的としたものではありません。また、掲載される情報の著作権は株式会社オールアバウトが有し、各国の著作権法、各種条約およびその他の法律で保護されています。
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