株主還元を積極的に行う企業に投資
「マニュライフ・新グローバル配当株ファンド(毎月分配型)」は、好成績を反映して2013年10月末の純資産総額約39億円が、1年後の2014年10月末には約252億円と6.5倍近く増やしている注目ファンドと言えます。同投信は、世界各国のさまざまな業種の企業から、株主還元に積極的な企業を選別して投資します。ファンド名に「グローバル配当株」とあり、また「株主還元」と言われると配当利回りに着目した高配当株で運用されるファンドと思われるかもしれませんが、同ファンドが着目するのは配当利回りだけではありません。
運用権限の委託先会社である「エポック・インベストメント・パートナーズ・インク(USA)によれば、企業のキャッシュフロー分析(中でもフリーキャッシュフロー分析)を通じて、好水準の配当金、自社株買い、負債削減を総称して株主還元と証して着目しているのです。
銘柄選択においては、現金配当4.5%+自社株買い・債務の削減1.5%+キャッシュフローの成長3.0%=9.0%を目標リターンとして銘柄選択は行われます。定量リサーチでは、高水準の配当利回り、直近3年間、営業活動によるキャッシュフローが配当を上回っていること。過去5年間、営業活動によるキャッシュフローが成長していること。過去に無配がないこと。時価総額5億ドル超、および十分な流動性を維持していることをあげています。
そして、実際のポートフォリオ構築においては、個別銘柄のリスクを最小化しつつポートフォリオの目的を達成させるべく90~120銘柄で運用が行われています。2014年10月末基準のマンスリーレポートによれば、組入銘柄数は91 銘柄です。
MSCIWorld指数を上回る
同ファンドは2010年8 月31 日から運用が開始されていますが、気になる運用成績は2014年10月末基準のマンスリーレポートによれば、1ヵ月から設定来までの分配金込みの騰落率は全てプラス。設定来は115.36%と良好な運用成績となっています。何よりも驚かせるのが、リスクを抑えて好収益を確保していることです。同ファンドが設定される前の2005年12月末からマザーファンドに該当する「グローバル・エクイティ・シェアホルダー・イールド」の運用成績です。同マザーファンドの年換算リターンは9.1%、MSCIWorld指数(以下「指数」という)は5.7%。標準偏差は13.3に対して指数は16.8です。標準偏差は小さいほうがリスクは低いことになります。
また、シャープ・レシオは0.59に対して指数は0.26。シャープ・レシオは取っているリスクに対してリターンになることから、同マザーファンドはMSCIWorld指数よりもリスクは抑えられているが、リターンは高くなっているのです。約9年間のデータですが、その間リーマンショック、ギリシャショック等々、さまざまなリスクが顕在しながらも指数を上回っているのです。
しかも、過去12ヵ月(先のデータを含め2014年9月30日現在)の売買回転率は13%と、売買を頻繁に行って収益を積み上げているのではないのです。
毎月分配型の分配金は1万口当たり30円と少ないものの、全額が組み入れ銘柄の配当金で賄われていることから健全性は良好です。また、四半期ごとに売却益等を原資としたボーナス分配が行われています。2011年、2012年こそボーナス分配が行われない期がありましたが、2012年12月以降は四半期ごとにボーナス分配が支払われています。
毎月分配型なので複利効果が低下する面があるのは否めませんでしたが、2014年11月28日は年2回決算型が設定されることから、複利効果のマイナス面は解消されるはずです。定期的に分配金を受取りたい人は「毎月分配型」、資産形成層は「年2回決算型」を選ばれるとよいでしょう。今後も期待したいファンドの1本と言えるでしょう。