モデルは宝塚歌劇団
『ライジング!』
『ガラスの仮面』全盛期の1982年に、人気少女小説家・氷室冴子原作のニュータイプ演劇漫画として「週刊少女コミック」で連載をスタートした『ライジング!』。アメリカ育ちの少女・仁科祐紀が、日本の高校に進学しようと帰国し、ダンスの専門学校と勘違いして入学した「宮苑音楽学校」でスターを目指して挫折しながらも成長していく様子が描かれています。この「宮苑音楽学校」「宮苑歌劇団」のモデルはもちろん「宝塚歌劇団」。原作者の氷室氏が宝塚の大ファンと言う事もあり実現した企画だそうです。その氷室氏の思いもあってか、男役スターが絶対的優位に立つ宮苑歌劇団で、主人公の祐紀は当初目指した男役から演出家・高師の指導により娘役に転向。その後宮苑を退団して外部の舞台で役を掴み取って活躍するものの、再び娘役の主演俳優として宮苑の舞台に立つという物語。コレ、宝塚だったら”有り得ない”訳で、その辺りのさじ加減が面白いのです。
そしてこの作品の特徴の1つが”劇中劇”のクオリティの高さ! 少女小説家として「なんて素敵にジャパネスク」等の大ヒット作を生み出した氷室冴子氏ならではの作劇にヤラれます。中でも祐紀の娘役転向一作目となった劇中劇「レディ・アンを探して」は小説としても書籍化され、更にOSK日本歌劇団で実際に舞台作品として上演されました。
ゴージャスで危ういオペラの世界
『プライド』
ゴージャスな世界をリアルに描く事には定評がある漫画家、一条ゆかりさん。これまでも「砂の城」や「有閑倶楽部」と言ったメガヒット作を生み出してきた一条さんが満を持して発表したのが本作『プライド』。2002年12月号から2010年2月まで月刊誌「コーラス」で連載されたこの作品は単行本を300万部以上売り上げる大ヒット作となりました。
『プライド』でピックアップされているのは”オペラ”の世界。資産家の家に育ち音大に通っていたものの、父の会社が倒産し、働かなくてはいけなくなった麻見史緒と、酒に溺れる母親の元で育ち、勝つためには手段を択ばない緑川萌の2人がオペラ歌手として舞台に立つまでの姿と、彼女たちを取り巻く人々の人間模様がこってりモードで描かれています。
これまで演劇やバレエを題材にした漫画は何作かあったものの、ゴージャスさが際立つオペラの世界を描いた漫画は珍しく、かなりドロドロした足の引っ張り合いからオーディションの壮絶な舞台裏など、それまでの舞台漫画とは一味違う世界観が魅力の本作。2009年には満島ひかりさんらの出演で映画化され、翌年の2010年には東宝の製作により舞台化もされています。
いかがでしょうか。華やかな舞台の表と裏を描いた漫画3作品をPick Upしてご紹介しました。個人的には生きている内に『ガラスの仮面』の結末を見届けたいと心より願っています。確かコレ、最初に読み始めたの……小学生の時だったなあ……(遠い目)。