うつ病/うつ病患者への接し方・言ってはいけない言葉

うつ病は「復学・復職時」に注意が必要と言われる理由(2ページ目)

うつ病の治療で休学・休職していた人が、元の生活に復帰すると、再び症状が悪化して療養生活に戻ってしまうことは少なくありません。この「回復期」には、本人と周囲にはどんな心がけが必要なのでしょう?

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

回復期には「完治」しているわけではない

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つらい気持ちを言えず、笑顔で頑張ってしまいがちな回復期

うつ病は多くの場合、復学・復職時には「完治」しているわけではありません。症状が悪化しないように、様子を見ながら元の生活に慣らしていく段階であるため、ストレスに押しつぶされないための調整が必要なのです。

当事者は、周囲への遠慮から、自分の気持ちを伝えにくいものです。したがって、どんなことでも遠慮なく相談できるよう、相談しやすい窓口を身近に1~2人ほど設定しておくと安心できます。

とはいえ、窓口を決めてもその人だけに支援を限定するのではなく、周りも一緒に様子を見守りながら、状態を察知していく必要があります。たとえ、笑顔で「大丈夫です」と言っていても、実は無理をしているのではないか、1人でいるときに沈んだ表情をしていないかなど、様子を注意深く見守っていきましょう。

「大丈夫です」「もっとできます」を過信しないこと

回復期には意欲は上昇しているため、本人は「もっとできます!」「やらせてください!」と言うことが少なくありません。しかし、症状はまだ不安定であるため、予定通りにこなすことができなくても無理はない、と考えておく必要があります。意欲に任せて仕事を増やしたものの、その仕事をこなせないことが大きなショックとなり、自責感を募らせ、症状が悪化していく――こうした事態にならないよう、注意したいものです。

つまり、うつ病の回復期には、周囲は本人の意欲を十分に受け止めつつも、要求通りに負荷を増やさないように注意する必要があります。「意欲を出してくれてうれしい。でも、少しずつ仕事量を増やしていきましょうね」などと伝えて、焦らず、着実に復帰していけるように調整していく必要があるのです。
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