回復期には「完治」しているわけではない
つらい気持ちを言えず、笑顔で頑張ってしまいがちな回復期
当事者は、周囲への遠慮から、自分の気持ちを伝えにくいものです。したがって、どんなことでも遠慮なく相談できるよう、相談しやすい窓口を身近に1~2人ほど設定しておくと安心できます。
とはいえ、窓口を決めてもその人だけに支援を限定するのではなく、周りも一緒に様子を見守りながら、状態を察知していく必要があります。たとえ、笑顔で「大丈夫です」と言っていても、実は無理をしているのではないか、1人でいるときに沈んだ表情をしていないかなど、様子を注意深く見守っていきましょう。
「大丈夫です」「もっとできます」を過信しないこと
回復期には意欲は上昇しているため、本人は「もっとできます!」「やらせてください!」と言うことが少なくありません。しかし、症状はまだ不安定であるため、予定通りにこなすことができなくても無理はない、と考えておく必要があります。意欲に任せて仕事を増やしたものの、その仕事をこなせないことが大きなショックとなり、自責感を募らせ、症状が悪化していく――こうした事態にならないよう、注意したいものです。つまり、うつ病の回復期には、周囲は本人の意欲を十分に受け止めつつも、要求通りに負荷を増やさないように注意する必要があります。「意欲を出してくれてうれしい。でも、少しずつ仕事量を増やしていきましょうね」などと伝えて、焦らず、着実に復帰していけるように調整していく必要があるのです。