とびきり仲良しの「しろちゃんとはりちゃん」が絶交!
うさぎとはりねずみの「しろちゃんとはりちゃん」は大の仲良しで、森の家で一緒に暮らしています。どれぐらい気が合うかというと、好きなテレビ番組も、好きな遊びも、好きな絵本も一緒。「ぼくたちって にているねえ」という2人の言葉が、ほのぼのと響いてきます。まるで恋人同士みたいですね。そんな2人が、晩ごはんのカレーの具をめぐって大ゲンカになってしまいました。
よくない空想が膨らみ憔悴(しょうすい)するしろちゃん
はりちゃんががけから落ちてしまったら、猟師に捕えられてしまったら……。はりちゃんを心配するしろちゃんの気持ちはどんどん膨らみ、よくない想像ばかりが豊かにわき上がってきてしまいます。憔悴しきって全身で悲しみを表すしろちゃんの姿は、切なすぎます。でも、かたわらにはいつの間にか現れたはりちゃんの姿があり、しろちゃんのそんな姿を不思議そうに見上げているのですけどね……。大切な友だちに会いたくなるかも
小学校1年生のクラスでの読み聞かせで、この絵本を読みました。子どもたちは大ゲンカの原因に大笑い、豊かな想像力で最悪の事態を考えてしまうしろちゃんに大笑い。「大げさだなあ」なんて声も聞こえてきました。しかし、次第に子どもたちの表情は真剣に。しろちゃんの気持ちに入り込み、はりちゃんがどこにいるのか、2人が再会を果たすことができるのか、心配になってきたようです。無事しろちゃんとはりちゃんが再会し、雪の中を2人が手をつないで家に向かって歩いていくシーンでは、みんなホッとしたよう。あらためてお互いの思いを伝え合うしろちゃんとはりちゃんの言葉には、ちょっと照れくささを感じた子もいるようです。そして、時にはケンカしたり素直になれなくなったりしてしまうけれどとても大切な友だちのことを、思い浮かべた子もいるかもしれないなあと、絵本に見入るみんなの表情を見ながら考えました。さて、この絵本は最後のページでもう1度、クスッと笑わせてくれます。「そうそう、仲の良い友だちどうしってこういうことの繰り返し」と思わせられる最後のページ。友だちとこんな風に感情を何度もぶつけ合いながら仲を深めていくって、子どもならではかもしれませんね。
楽しさと不安と安堵、そして再び楽しさへと感情を揺らしてくれる絵本は、しろちゃんとはりちゃんの素敵な友情と共に、子どもたちの心に強く残るようです。