競馬/一頭追っかけシリーズ

追っかけシリーズ第8回 ~新たなスタート~(2ページ目)

日本ダービー出走の夢は破れ、夏の休養に入ったシャドウダンサー。それから4ヶ月以上経った10月19日、シャドウダンサーは満を持して競馬場に戻ってきました。その復帰戦の模様と、そして次なるレースへの展望をお送りします。

河合 力

執筆者:河合 力

競馬ガイド


レース前の「歩き方」から感じた、シャドウダンサーの成長

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シャドウダンサーの歩き方に変化が……

仲の良い友達と久々に会うと、妙に照れてしまいませんか? 10月19日、およそ4カ月半ぶりに競馬場へと戻って来たシャドウダンサーを見た私は、まさにその心境でした。うれしいけれど、照れてしまう。恥ずかしくて、シャドウダンサーをしっかり見られない。他の人から見れば、かなり気持ち悪い状態に陥っていました。

ここで一度、シャドウダンサーが置かれている状況を振り返ってみます。競走馬は、獲得した賞金に応じてクラス分けがされており、現在のシャドウダンサーは「1000万下」というクラスに属しています。G1レースが行なわれるのは、「オープン」という最上級クラス。そこにたどり着くには、まず「1000万下」のレースを勝って、「1600万下」に昇級。さらに「1600万下」のレースを勝つ必要があります。

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「1000万下」のシャドウダンサーが「オープン」に行くには、2つ勝つ必要があります


ということで、シャドウダンサーが復帰戦に選んだのは、10月19日の鳴滝特別(芝2200m/京都競馬場)。1000万下のレースです。戦前、シャドウダンサーは1番人気。ここは負けられません。

レース前のシャドウダンサーをパドックで見たとき、私は久々の姿に照れながらも、確かな「成長」を感じました。体つきは春とそれほど変わらないのですが、とにかく歩き方がスムーズ。春にはない“柔らかみ”があるのです。

競走馬の歩き方を「歩様(ほよう)」といいますが、この歩様の柔らかさは競走馬において重要。活躍する馬を見極める一つのポイントとされています。

春のシャドウダンサーは、どうしても歩様が硬く見えました。コトコト歩いているという雰囲気。それがこの日は、脚がスラッスラッと滑らかに出る。そして歩幅も広く見える。これはまさに休養の効果、成長の証ではないでしょうか。

お手本通りのレースで、次なるステップへ

そして、運命のレースが始まります。今回コンビを組むのは、岩田康誠騎手。ダイナミックなフォームで馬を鼓舞する、一流ジョッキーです。この組み合わせに何の不安もありません。

さあ、それでは見て頂きましょう。久々のシャドウダンサー劇場。その復帰戦の模様をどうぞ!

鳴滝特別のレース映像(シャドウダンサーは黒帽の2番)

終始インコースでジッとしていたシャドウダンサー。レース後、岩田騎手が「馬の行きっぷりも良かったです」と言ったように、シャドウダンサーはやる気満々。ところどころで、岩田騎手の持つ手綱を少し引っ張るようにして進みます。これがエスカレートし過ぎるとマイナスで、「折り合いを欠く」、「引っ掛かる」という状態になるのですが、このくらいならまったく問題ありません。むしろ好材料です。

そして最後の攻防。シャドウダンサーは、直線に入ったところで一気に最内から抜け出し。舞台となった京都競馬場は、3~4コーナーが内回りと外回りの二つに分岐しており、外回りを使ったこのレースでは、往々にして最内が開くんです。シャドウダンサーの通った進路は、まさにそこ。教科書通りのレースでした。

最後は外からライバルに詰め寄られましたが、これも問題ありません。馬は群れで行動する習性から、1頭で抜け出すと、後ろの馬を待ってしまうことがあります。シャドウダンサーも、今回はあまりに鋭く抜け出したために、早々と先頭に立ってしまいました。それにより、シャドウダンサー自身が少し後ろの馬を待ってしまったかもしれません。

何から何までプラス思考ですが、こればかりは許してください。競走馬のファンになるとは、こういうことなのです。何をしてもかわいく見えてしまう状態。つまり、メロメロなんです。

ただし、そんな中でも心配はあります。それは、シャドウダンサーのスタート。春もスタートでたびたび出遅れていましたが、鳴滝特別もスタートで後手を踏んでいます。今回は出走馬が少なく、ポジション争いが過熱しなかったから良かったものの、もっと頭数が多いと、この出遅れが致命的。すぐにライバルが前に入り、シャドウダンサーは後方で動けなくなる可能性がありますから。これは、改善すべき課題でしょう。

ともあれ、無事に「1000万下」のクラスを卒業したシャドウダンサー。そして今週、早くも「1600万下」の卒業をかけて出走します。シャドウダンサーが挑むレースは、11月15日(土)の比叡ステークス(芝2200m/京都競馬場)です。

相手はもちろん強くなりますし、デビュー前から期待されてきた良血馬もいます。ここを勝つ(=オープンクラスに昇級する)のは、簡単ではありません。スタートの出遅れも心配です。それでも、夏の休養でパワーアップしたシャドウダンサーなら、一気にオープン入りを決めてくれるでしょう!

ちなみに、毎年約7000頭生まれるサラブレッドの中で、最上級のオープンクラスに入るというのは大変なこと。そう思うと、シャドウダンサーの応援にもより力が入ります。好結果を残して、次なるステージへ行ってほしい!

比叡ステークスは、11月15日(土)の15時10分スタート。レースの模様は、テレビ東京およびBSジャパンの「ウイニング競馬」で放送される予定です。がんばれ、シャドウダンサー!

(リンク)
シャドウダンサー|netkeiba.com
鳴滝特別|レース結果|netkeiba.com
比叡ステークス|レース情報|netkeiba.com


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