最高の料理を本物の器でいただく『八百善』の料理

さて、この日いただいたのは、お昼の御膳(3,000円)のコース。誌面の都合ですべてのお皿はご紹介できませんが、特に印象深かったものを何品か撮影させていただいたので、ご紹介します。

基本的には、先付にはじまり、汁、ご飯、香の物で終わるという会席料理の流れになります。

鰻の蒲焼きもどき

鰻の蒲焼きもどき


こちらは、見ての通りナスですが、これがいただいてみると、鰻(うなぎ)の蒲焼きの味がします。「鰻の蒲焼きもどき」だそうです。

「鰻の蒲焼きもどき」というと、黄檗(おうばく)禅の「普茶料理」が思い浮かびますが、『八百善』の膨大な数のレシピの中には、「普茶料理」もあるそうです。なんとも料理の幅が広いことに驚きます!

「五爪の龍」が描かれた皿

「五爪の龍」が描かれた皿


こちらは、皿に注目してください。少し見づらいかもしれませんが、龍の絵が描かれています。しかも、ただの龍ではなく、5つの爪を持った龍です。

中国で「五爪の龍」といえば皇帝の象徴。歴史的に「五爪の龍」の絵柄の入った物は皇帝しか使用が許されませんでした。つまり、これは皇帝が使用するためにつくられたお皿ということ。

もしかすると、私が今、料理をいただいているこのお皿、皇帝溥儀が使った可能性があるそうです。

茶碗蒸し

茶碗蒸し


こちらは、牡蠣(かき)入り茶碗蒸し。使われる食材で季節を知るのも和食のいいところです。ちなみに、器は蓋付の織部。料理もさることながら、すべて本物の器が使われているところが贅沢の極みに思えます。

また、話題が北大路魯山人に及べば、魯山人の器で料理が出てくるというような、レシピと伝統を守りながらも、そういった自由自在なことができるのも、『八百善』ならではでしょうか。

栗の炊き込みご飯

栗の炊き込みご飯


最後は、栗の炊き込みご飯とお椀に香の物。秋の味覚、栗はこの日で打ち止めだそうです。

吟味された食材に、伝統の技が駆使された最高の料理を本物の器でいただくランチ。なんだか、値段が1ケタ間違ってるんじゃないのかとも思える素晴らしい内容でしたが、十代目 栗山善四郎氏は、

「オートメーション化により伝統の職人の技が失われてしまった現代は、食の破壊期。私どものやるべきことは、とにかく料理は手間暇かけて、ローテクに戻し、職人の技を使うこと。そして、この値段でお店をやって、多くのお客様に本物の職人の料理を味わっていただくこと」

と話されます。

お店は、4テーブルのみ。お一人のお客様でも、ゆったり食事していただくために相席はしない、とのことですから、お早めに予約されることをおすすめします。

なお、『八百善』のある明王院は、鎌倉三代将軍・実朝が暗殺されたあと、京都の九条家から来た四代将軍・頼経が創建したお寺。小さいながらも、茅葺き屋根の風情が残る美しいお寺です。

『八百善』の入口へは山門を入らず、50mほど手前の「五大堂明王院」と書かれた石碑から、左手の道に進みます。

<DATA>
■割烹家 八百善
住所:鎌倉市十二所33-2
TEL:0467-24-2560
営業時間:11:30~17:00(L.O.15:00)
定休日:水曜日 年末年始
アクセス:鎌倉駅東口から京急バスで「泉水橋」バス停下車、徒歩5分
ホームページ → http://www.yaozen.net/

主なメニューは、
・江戸料理コース 6,500円
・お昼の御膳コース 3,000円
・詩八五山 1,800円
そのほか、体験イベント「八百善懐石料理研究会」も催されています。詳細は、お店にお問い合わせください。

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