成約件数が7カ月連続で対前年比マイナス
成約価格は、対前年同月比で8.0%の上昇
中古マンションの成約件数は、平成26年4月以降前年同月比で7カ月連続でマイナスになっています。東日本不動産流通機構発表の2014年10月度の月例速報によれば、2014年10月度の首都圏の中古マンションの成約件数は、前年比マイナス13.4%。2014年9月度の成約件数が-5.9%でしたので下落幅が拡大しています。一方、成約価格は前年同月比で、+8.0%、前月比で3.6%と上昇幅が拡大しています。成約件数が減っているのに価格が上昇しているのは、在庫が低水準であることや新築マンション供給戸数の減少と供給価格の上昇。新築、中古を並行して検討する人が増えてきている中、新築マンションの価格が上昇し、かつ供給戸数が減れば中古マンション価格にも影響が出るのは必然。成約件数が減っているのに価格が上昇しているという事象が起きています。
地域別でみると、成約件数の落ち込みが大きいのは埼玉県(-20.1%)、千葉県(17.2%)、横浜市・川崎市(17.9%)といったエリアです。一方で、東京都区部(-9.7%)は、やや減少幅が小さくなっています。価格は、東京都区部(+8.7%)が大きく上昇。横浜市・川崎市(+7.9%)と続きます。
在庫件数は、34,431件と前月よりも増えていますが、前年同月比では-5.2%と依然として低水準です。価格が上昇した分の需要減少とも考えられますが、売りたい人、買いたい人のマッチングが物件数が限られる中遅くなっているとも言えるでしょう。
高値で売っている売り手の意図は?
売り手優位の市場を反映
不動産市場を見渡すと、一部の収益物件などはかなり強気な設定で販売されているようです。「誰か一人が買ってくれればいい」というのが、売り手側のスタンスで、高値で仕入れて更に高く売るという構図があります。中古マンションでも都心の億ションや人気のタワーマンションの売り出し価格が現状の市場価格を大きく上回るケースもあり、この上昇トレンドに乗って少しでも高く売りたい売り手の思いが伝わってきます。しかし、買い手と売り手の合意が成り立てば取引は成立するわけであり、このまま上昇トレンドが続けば買い手が現れる可能性もあります。一物一価の不動産の難しいところでもあり、面白い部分でもあります。特に都心エリアの中古マンションマーケットは、査定よりも売り主の意向が反映されやすい状況になっているのでしょう。
確かに、億ションなら当然それなりの富裕層が購入するわけであり、その分価格の変動幅も大きくなるでしょう。賃料の表面利回りを考えると4%を割るような物件がちらほらあり、成約件数が伸びない今の市場の表れともいえるでしょう。
一方で、多くのマンションユーザーにとっては、数百万の価格差は、子供の教育費などに大きく影響するため、買い手と売り手がそれぞれ慎重で、一物一価とはいえ、3,000万円台~4,000万円台の価格帯のマンションは、比較的一定の相場内に収まっているとも言えます。
マンハッタンの土地は限りがある。写真はイメージ
2015年1月の相続税の改正(基礎控除額の削減)を受け、相続対策の一つとして都心のマンションの売れ行きに影響が出ていますが、そもそも人々の生活に影響を与える税制が大きく変更になったことを踏まえると、今の環境(現金で相続するよりも不動産で相続したほうが有利な場合が多い)が、将来税制変更で変わる可能性があることは、よく認識しておきましょう(今の税制では有利という事で将来にわたって税制が変わらないという事ではありません)。
不動産を早く売るためには、「相場で売ること」
不動産を買うためには、「相場よりちょっと高く買うこと」
持っている不動産を早く売るためには「相場で売ること」がポイントになります。しかし、愛着ある住まいなら「高く売りたい」のも当然でしょう。ましてやライバル物件が少ない今の中古市場ならなおさらです。しかし、オープンな中古マーケットの中では、一定の相場観の中で物件は動くものです。早く売る事情があるなら、相場に近い価格設定で販売をすすめることも大切でしょう。一方、「欲しい不動産を手に入れる方法」は、「相場よりも高く買うこと」です。魅力的な物件なら当然人気は集中するはず。ごく稀に、平均倍率の高い新築マンションがありますが、価格設定が高ければその分倍率がダウンし購入チャンスも増えていたでしょう。もう一つ、欲しいマンションを手に入れる方法を挙げるとすれば「早く買う」ことです。2013年の人気物件の中には、完売が近づくにつれて倍率がついたマンションもありました。まずは、資金計画と家族のモノサシを持ってマンション購入を準備し、早いアクションで理想のマンションの購入を実現してください。