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ニッポンのドラマを面白くする 三谷幸喜論(3ページ目)

2015年 新春、三谷幸喜脚本の 『オリエント急行殺人事件』が2夜連続で放送されます。期待感高まる超大作を記念して、愛される三谷作品について考えます。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

テレビドラマの今

IT化によるメディア形態の展開はテレビの世界も大きく変え、贅沢なテレビドラマの時代は終わったと感じることはあります。しかし、その変化に対応しない評価する側(視聴率を基準に物申す側)と制作側にも課題はありそうです。

個人の価値観とともに嗜好も多様化している今日、視聴率低下も作品の質だけに問題があるとは言えず、いまなお視聴率に絶対性を持たせる風潮は不自然です。テレビだけが突出した影響力を持つ時代でないことを受け止めず、テレビが踏ん反り返っているとしたら、そこは改善されるべきです。

敏感な視聴者は「こんな感じを視聴者は喜ぶ」「今はこう描けばトレンド!」といった惰性的発想が作品に見えると嫌悪感を抱きます。見たいのはドラマであってイメージや雰囲気ではありません。

視聴者はきちんと見極めていますし、そこにテレビの衰退はありません。 つくりたいもの、届けたいものをシンプルに探り、そこから綿密に練られた作品こそが本物ではないでしょうか。三谷幸喜は、そんな本物のドラマを作ることができる一人なのです。
 

 

そして『オリエント急行殺人事件』へ

2015年新春、ミステリーの女王 アガサ・クリスティーの名作『オリエント急行の殺人』を昭和初期の日本に舞台を移して描く『オリエント急行殺人事件』(フジテレビ系列)が、2夜連続で放送されます。車内という閉鎖的な空間で繰り広げられる濃厚な人間関係を軸に展開する物語は、まさに三谷幸喜の得意とするところ。

三谷作品初登場は5人。主人公の名探偵“勝呂武尊”を演じるのは、しなやかな演技が光る野村萬斎、被害者の秘書“幕内”を演じるのは、三谷曰く「絶賛するべき屈折感」の二宮和也。コメディもシリアスも見事に演じ分ける柔軟性で作品の緊張感や開放感を生み出す沢村一樹(能登陸軍大佐)と玉木宏(外交官の安藤伯爵)や、初々しさを維持し続ける奇跡の女優杏(安藤伯爵夫人)も、三谷ワールドを彩ります。

ベテラン俳優も臆することなく伸び伸びと新しい役どころに挑むのが三谷作品。草笛光子や富司純子がどんな美しさを見せ、どんな表情を見せるのかも気になります。

車内の装飾や衣装など丹念につくり込まれた昭和8年(シカゴ万国博覧会が開催され東京有楽町に日劇が開場)の風景、詰め込み過ぎない河野圭太の演出、繊細な旋律からダイナミックな演奏まで豊かに織りなす住友紀人の音楽、すべての要素がインテグレートされる豪華絢爛なドラマを、新年の空気に包まれながらお茶の間でぜひ楽しんでください。


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