企業経営のノウハウ/社内報の活用法

聞き上手になろう! 職場で本音を引き出す取材術(2ページ目)

メールやSNS、コミュニケーションインフラの進展が激しく、それに伴ってビジネスでも直接コミュニケーションをすることが少なくなってきました。傷つくことを恐れ、本音が言えない若手も多いのではないでしょうか? しかし、人が心を揺さぶられ、共感し行動するのは、本音に触れた時です。そんな本音で対話できる関係性が組織ではなにより大事です。どうやったら人は本音を語るのか。社内報の取材を例に取り紹介しましょう。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

取材は事前準備がなにより大事

取材は事前準備がなにより大事

取材は8割の準備と2割の本番

インタビュー時の熱意もさることながら、冷静な事前準備もさらに重要となります。仕事内容などの基礎データの把握、周辺取材(同部署で仕事ぶりや人柄など)、あるいは以前発表しているものがあれば事前に目を通すことも必要です。

しかし、事前情報、予備知識は取材で確認します。変化していることもあるからです。つまり、準備はしつつも、先入観は持たないで、取材では頭を白紙の状態にして、情報を吸収します。取材時の編集者の新鮮な感動や偏見のない感想が読者の心をとらえるものです。また、事前準備において、想定質問集の取材メモを作っておきますが、成り行きで対応できる融通性も必要となります。

インタビューでは立場を忘れ、聞き役に徹する

世間話でウォーミングアップします。事前に調べておいたネタを振ることで、「自分のことをこんなに知っていてくれるのか」と喜んでもらえるはずです。しかし、調べれば分かる基本データは時間をかけて聞かないようにしましょう。聞き方としては、具体的(5W1H)な質問をする方法と大雑把にいって、あとは成り行きに任せる方法があります。

話を先取りしないように、また、一方的な質問の嵐で相手をへきえきさせないようにしましょう。話がいくら飛躍しても十分に話してもらい、会話を楽しんでもらうほうが大事です。それから軌道修正しても遅くはありません。飛躍しすぎても、介入や誘導はせずにやんわりと軌道修正しましょう。また、たとえ話題がそれても、相手が話しやすい環境を作り出し、相手が興味を引きそうな問いかけを投げてみる、視点を変えてみる、といった工夫をしてみましょう。取材目的とは直接関係がなくても、個人的な思いや業界の置かれた状況などまで聞くことにより、原稿に深みがでてくるものです。

ポイント、キーワードのメモは必要ですが、メモは最低限にしておき、「聞く」という姿勢で臨むことが大事です。また、上手に頷きながら、相手の話を吸い込んでいくような雰囲気を醸し出します。「あなたの話を真剣に聞いています」という合図を送りましょう。そして、「その話、素晴らしい。もっと詳しく教えて下さい」とより深く話を引き出す努力も必要です。なにより、取材対象者に対する好意、興味を持つことがとても重要です、それは必ず聞く態度に表れます。相手はその態度に引き込まれ、本音を語ってくれるのです。

一方、話がうまくない人へは、事前調査の内容から、話のきっかけを提供します。あるいは「おっしゃりたいことは、このようなことでしょうか?」と編集者が言語化してあげると、それに続いて話が引き出せるでしょう。

録音する場合は相手に了解をとります。「記事をまとめること以外の目的で、録音テープを使うことはない」と説明します。録音すると相手が緊張するので、「オフレコのことも話していただいてけっこうです。それは書きませんから」と伝えることも必要でしょう。えてしてオフレコの中に本音が潜んでいるものです。
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