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マレーシアの伝統が息づく町コタバル

コタバルは、マレー半島の北東部にあり、人口約50万という港町。この小さな町に多くの旅人が訪れているのは、マレーシアの伝統や文化を受け継いでいる匠が暮らし、今もなお人々の生活の一部として楽しまれているから。マレーシアの真の魅力は、こんな田舎町にあるのです。

古川 音

執筆者:古川 音

マレーシアガイド

伝統文化が根付いた町、コタバル

マレー半島の北東部にあり、人口約50万という小さな港町、コタバル。一見すると、どこにでもあるマレーシアのカンポン(田舎町)のようですが、この町に魅せられる人は数多くいます。
マレー凧

マレー凧の工房。マレー凧の特徴は色使いとカタチ。下方に三日月形を象ったワウブラン(左にある赤いもの)がポピュラー

マレー凧工房

マレー凧を作る職人。すべて手作業でこなす

コタバルの魅力、それは誇り高いマレーシアの伝統文化が今もなお息づいていること。大空を舞うアートといわれる、マレー凧「ワウ(WAU)」。闇に浮かび上がる光の世界、影絵「ワヤンクリッ(WAYANG KULIT)」。これらはコタバルの職人が手仕事で作り上げ、コタバルの芸能家が演じ、今世につないでいるのです。

また、コタバルに暮らすのはマレー系民族の比率が高く、町はマレー文化一色。クランタン弁という独特の方言を話し、標準のマレー語では通じないことも。独特の文化が色濃く残る町、コタバル。といっても閉鎖的な感じはまったくせず、言葉が通じなくてもフレンドリーに旅人に接してくれるのがコタバルの魅力。マレーシアという国を本気で体感したいなら、発展したクアラルンプールよりも、こんな小さな町を訪れてみてください。

コタバルへのアクセス

コタバルへは、クアラルンプールで国内線に乗り継ぎ。マレーシア航空、またはエアアジアで約1時間のフライトです。どちらも毎日4便以上発着していて便利。高速バスで行く場合は、クアラルンプールのバスターミナルから、約7時間かけて北上します。

コタバルのみどころ

ワヤンクリッ

影絵にはいくつかのスタイルがあり、ここで上映されているものをワヤンクリッという

「クランタン・カルチュラル・センター」で、影絵を上映しています。クランタン弁の台詞は理解できませんが、素朴な伝統音楽が流れるなか、色鮮やかな人形が舞う姿はとても幻想的。上映の時間はシーズンによって異なるので、事前に確認しておきましょう。

セントラルマーケット

セントラルマーケット。上の階には台所用品、民族衣装も販売。海鮮が評判の屋台もある

コタバルの中心地にある庶民の台所「セントラルマーケット」。ウミガメの卵や苦くて臭い豆など、見たこともないような食品が並び、あれこれ物色しているだけでも楽しいです。2フロアからのぞむ市場の様子は圧巻で、この景色はマレーシアの観光PR用の写真にもよく登場しています。

300年前に建てられた木造のモスク「カンポン・ラウ・モスク」は、釘を一本も使っていない希少な建築様式。信者以外は中に入れませんが、味のある佇まいを外から眺めることができます。また、凧作りや影絵人形作りの個人工房を公開している職人もいます。工房は中心部からはかなり離れていることが多く、タクシーでの訪問になりますが、興味があれば宿泊先で聞いてみましょう。
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