ファンドの特色
マニュライフ・アジア・オセアニア小型成長株ファンドの運用状況を述べる前に、簡単に同ファンドの特色に触れておきましょう。運用対象は主としてアジア・オセアニアの小型株式です。継続的に企業調査やモニタリングを行いリスク管理を徹底し、企業分析に基づいて割安で成長の期待できる銘柄に投資を行い、値上がり益の獲得を目指して行きますが、運用スタンスとしては絶対収益を追求していくファンドです。
銘柄選択においては、証券会社のアナリストによる英文のレポートがなく、カタリスト(株価上昇の誘因)が発生しない内に割安成長株を発掘し、カタリスにあたる情報を企業が発表してアナリストがレポートなど機関投資家などの資金が流入したところで売り抜けていくという他の運用者よりも1歩先を行く売買によって収益を積み上げていきます。
おのずと売買回転率は高まることになりますが、集中投資を行うのではなく、常時100~150銘柄程度でポートフォリオは構築され、機動性や分散によりリスク管理は行われています。
国別のトレンドも上手く捉える
2014年9月末基準のマンスリーレポートによると、過去1年の騰落率(分配金込み)は23.18%、設定来で25.93%と良好な運用成績です。良好な運用成績は、売買回転率を高めて収益を積み上げていることがあげられます。図は3ヵ月毎の組入上位10銘柄ですが、頻繁に入れ代わっていることがわかります。ボトムアップアプローチにより銘柄選択を行っていることから、国別の資産配分等は決まっていないのですが、国別の資産配分も結果として絶妙にトレンドを捉えています。たとえば、2013年12月の配分比率トップは中国の24.52%です。その中国は2014年4月末には10.61%まで配分を減らしています。
その間、配分比率を大幅に増やしたのがインドです。2013年12 月末では9.23 %だったものが、2014年4 月に13.40 %、同年7 月には23.34 %まで高めています。その間、中国市場は低迷していましたが、インドは選挙によりモディ首相に交代、新首相を歓迎して株式式場は大幅に上昇した局面をきちっと捉えているのです.その後、中国市場が回復基調になった局面では、再び中国への配分比率を22.82 %まで高めているのです(2014 年9月末)。
2014年下半期にかけて配分比率を大きく下げているのは、台湾、インド、オーストラリア。逆に上げているのは、中国、韓国、インドネシア、フィリピン、ニュージーランドとなっています。機動的に銘柄を変更していることから、国別の配分比率は結果論に過ぎません。年末は再び大幅に変わっている可能性もあるということです。
運用成績次第で分配金が支払われる
売買回転率を高め、言い換えれば機動的な売買を行うことで、着実に収益積み上げ良好な運用成績を上げているマニュライフ・アジア・オセアニア小型成長株ファンドですが、3 ヵ月毎(四半期毎)に決算を行っていることから、これまで決算期毎(4 期)に分配金が支払われてきました。基準価額が1 万円をある程度超えてくると分配金を支払うようで、分配金を支払った後、基準価額が1万200円~1万300円程度になるように、分配金額は決められているようです。なるべく多額の分配金を支払払わないでもらわない方が、複利効果が高くなるのは言うまでもないことですが。
米国の金融緩和が終了し、その先には政策金利の引き上げも予想されています。一時的に市場が混乱をしたとしても、徹底したリスク管理などで上手く切り抜けてくれる期待がもてるマニュライフ・アジア・オセアニア小型成長株ファンド。今後も継続してウオッチして行きたいと思います。