眠る前はお気に入りのものに囲まれて
寝室は、シーリングライトなど、天井から部屋全体を照らす照明に頼るのではなく、フロアスタンドとスポットライトだけにするのもよいでしょう。壁に掛かっている写真は、家族の思い出の一部でしょうか?「寝室には、思い出の写真や小物をたくさん取り入れています。結婚式や新婚旅行の写真、子どもが赤ちゃんだった頃の写真、二人でつくった思い出の品、お気に入りの雑貨などなど。眠りにつく前は、そういった思い出の品々やお気に入りのものに囲まれて、ゆったりとした気持ちで眠りにつきましょうという提案です」と土橋さん。
「寝室はリビングのようにお客様を通す部屋ではなく、非常にプライベートな空間。他の人が見ているわけではありません。ですから、インテリアの演出や装飾の統一感にあまり縛られずに、本当にお気に入りのものや、好きなものに囲まれて過ごしてみてはいかがでしょうか」
ベッド両脇のサイドテーブルにあるスポットライトは、ご主人サイドと奥様サイドで同じ型の色違いを選んでいます。本来なら、シンメトリーになるように照明器具を揃えるのがセオリーですが、「ここはあえて好みを優先してもいいのでは?」というのが土橋さんの意図だそうです。
「大きくテイストの違うものを選ぶのはどうかと思いますが、眠る直前に触れる範囲のものは、多少の違いがあっても好みの色やデザインのものに囲まれたほうが落ち着くと思います」。
スポットライトで好きなものを照らして
スポットライトも首の角度が変えられるものを選んでいます。光の向きを簡単に変えられるので手元に十分な明るさを確保でき、ベッドに入って読書を楽しむこともできるでしょう。光の向きを変えられるスポットライトを選んだのは、お気に入りのものにあかりを当ててクローズアップし、楽しい気分をつくり出すことができるようにしたかったからだそうです。
「例えば、車好きのご主人なら愛車のモデルカーを照らしたり、奥様なら子どもの写真のなかでお気に入りの1枚を照らしたりといった具合です。季節やその日の気分によってスポットを当てる対象を変えて、楽しみましょう。このようにして、自分の中の一番安らぐものを見てから、眠りにつくというのもいいのではないでしょうか」。
あかりや小物を上手に使って、寝室に必要な安らぎやくつろぎといった要素が散りばめられていますね。壁の写真は、家族の歴史とともにもっと数が増えたり、違う1枚になったりしていくのでしょう。
空間ごとに自由な発想であかりの演出を楽しんで
ここまで、リビングや寝室のコーディネート例を紹介してきましたが、あかりは、ただ暮らしに必要な明るさを得られればいいというものではありません。選び方や組み合わせによって、部屋を演出できるアイテムなのです。いくつかの照明器具を加える、既存の照明器具を交換するといったことで、空間の雰囲気が大きく変わることを理解していただけたのではないでしょうか。一つの部屋に複数の照明器具を配置したとしても、一つ一つが省エネのLED照明器具であれば、光熱費の節約にもつながります。照明器具を選ぶときは、調光や調色できるタイプの器具や、光の向きを変えられる器具を選ぶことで、あかりの演出の幅が広がります。
あまり難しく考える必要はありません。自由な発想で好みの照明器具を選んで組み合わせればいいのです。実際に照明器具を配置して、あかりの位置を調整してみたり、新たな照明器具をプラスしたりしながら、好みの演出方法を探っていくのも楽しいでしょう。ここで紹介したコーディネート例を参考にしながら、思い思いの照明器具を用いて、あかりの演出を楽しんでほしいと思います。
次回は、子どもを交えた団らんのシーンや、夫婦で映画鑑賞をするときなどを想定したあかり計画を紹介しましょう。ワザやアイデアが盛り込まれたコーディネートをお楽しみに。
撮影協力:LIVING MOTIF、天童木工、タカタレムノス(詳細はこちら)