ビフィズス菌を上手にとるために
ビフィズス菌や乳酸菌は熱に弱いため、高い温度で調理すると死滅します。日本ビフィズス菌センターのサイトによると、市販のビフィズス菌ヨーグルトの容器は酸素の透過性が少ないものが使用されビフィズス菌の保存性を高めています。また液体(牛乳など)の中で50℃より高くなると徐々に死滅し、70℃くらいでは1分もたたないうちに殆どが死滅するようです。攪拌したとしてもすぐに死滅するわけではないのですが、今流行の水切りヨーグルトにするには、ビフィズス菌ヨーグルトよりも一般的な乳酸菌ヨーグルトのほうがむいています。ビフィズス菌ヨーグルトは、できるだけそのまま食べるほうがおすすめです。
お腹の中で、ビフィズス菌を増やすには?
ビフィズス菌を増やすには、ビフィズス菌入りの食品を食べる以外に、ビフィズス菌の餌となる食品を食べるようにするのもよいでしょう。餌となるのは、例えばオリゴ糖。乳児の腸内にビフィズス菌が多いのは、母乳にオリゴ糖が多く含まれているからです。食物繊維も、不溶性・水溶性ともに大腸内で分解されることで、ビフィズス菌や乳酸菌が増えることに役立ちます。大豆やごぼう、玉ねぎなどの根菜類といった野菜、バナナなどの果物にはオリゴ糖が含まれ、また食物繊維も含まれています。
また乳酸菌は、加熱や胃酸などによって死滅(死菌)しても、腸内で食物繊維同様に善玉菌の活性化に役立つと考えられています。ではビフィズス菌は、どうでしょう? 今のところビフィズス菌(菌体成分)が、直接善玉菌に餌として利用されるという知見はないと思われる、という専門家の意見があり、ビフィズス菌の機能性については、今後も更なる研究が重ねられていくことでしょう。
また、善玉菌は偏った食事や飲酒、ストレス、抗生物質の摂取、加齢でも減少すると考えられていますので、生活や食事の習慣を見直すことも大切ですね。
腸内環境と健康の関わりは、注目される分野ですが、ビフィズス菌を含めた乳酸菌などの機能性の報告はメーカー独自の菌株によるもので、それぞれの性質や機能性が見られます。そのためひとくくりでは言えない部分もあり、まだまだ今後の研究により知見を集めていく段階です。
トクホも含めて食品は薬ではありませんので、病気の治療などを目的とはしていません。様々な機能性が期待されているとはいえ偏った食べ方は禁物です。幅広い食品から様々な栄養成分をとる上で、発酵食品や乳酸菌飲料などもうまく活用していきましょう。
参考/
・オリゴ糖について (2) ~腸内の細菌と健康の話~(独立行政法人農畜産業振興機構)
・『食品機能性の科学』
・ビフィズス菌の作る酢酸がO157感染を抑止することを発見(理化学研究
所)
・「ビフィズス菌による「整腸作用」と「免疫調整作用」(一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会 はっ酵乳、乳酸菌飲料公正取引協議会)
・日本ビフィズス菌センター