お客様ひとりひとりへの思いを胸に
StarS 2013年日本武道館公演 写真提供:キネマ旬報
「今はスケジュールが理由で次の予定が立っていませんが、長い目でやっていこうという話をしています。もともと、僕ら3人が仲良しだったから結成したというわけではありません。帝国劇場100周年の鼎談企画が持ち上がった時に、井上さんが僕と健ちゃんと話したいと言って呼んで下さった。そこで3人で集まった時に“ミュージカル界を盛り上げることしたいね”という話になって。直感的に、3人で何かできるんじゃないかと思って芳雄さんに言ったら“あ、いいね”ということになって。やりたいと言ったら周りの方々が動いて下さって、すぐ活動が実現したんです。
13年5月にリリースされたStarSの初ミニアルバム。6曲中3曲が「Gleam」などのオリジナル。ミュージカルナンバーは『ヘアスプレー』『オペラ座の怪人』『ジキル&ハイド』で、それぞれ3人の声を活かしたアレンジで楽しめる。PVやインタビューが収録されたDVD付のエディションも有り。avex io
お客様に感謝の気持ちを伝えるために、手書きでサインを書こうという話になって、日本武道館の公演前、大量の色紙に、半年かけてサインしました。『レ・ミゼラブル』の地方公演の間、段ボール箱が4つ5つ部屋に送り込まれてきて、その中に詰まった色紙にサインをしては送り、というのが毎日あって、ぎりぎり間に合って一人一人に感謝の気持ちを伝えることができました。そういう機会になったという意味でも、すごく大きいことが出来たなと思います。武道館公演の翌日、僕は『レ・ミゼラブル』の昼公演でスケジュール的には大変だったけれど、それ以上に得たものは大きかったですね。ミュージカル・ファンの底力も見せてもらえました。ふだん2000人の劇場で静かに見ている方たちと思えないくらい「わ~」っと盛り上がってましたから。
皆さんにとってもすごく大きなことだったらしく、いまだにどこに行っても“次いつやるの?”と聞かれますが、長い目で、30、40、50、60歳のころ、集まれる時に集まって、かっこいいおじさんとしてで出ていければいいねと話しています」
――とても30歳前の方とは思えないくらい充実したキャリアを送っていらっしゃいますが、今後のビジョンは?
「好きで始めたミュージカルは僕のホームグラウンドだとずっと思っていますが、今後はStarSを含め、異なる活動にチャレンジすることによってミュージカルを盛り上げていくという意味でも、機会があれば映像にもチャレンジしたいと思っています。自分の幅を広げるために、二枚目だけでなく、癖のある役など、何でもやってみたいですね。
ただ、40になっても50になっても60になっても市村正親さんのように、舞台の上で表現できるよう自分を磨いて、いつでも立てるようにいたいです。あと、日本オリジナルで世界に出られるようなものがいつか出たらいいですよね。作曲ですか?遊び感覚でピアノを弾くので、自分のライブとかではやっています。ミュージカルを作曲? そうですね。StarSでやってみたいんですよ。宝塚みたいに、一部はミュージカル芝居、二部はショーというのを3人で出来ないかな、と。
目標の役としては、そうですね。今28ですけど、40を過ぎたころやってみたいのはジキル&ハイドとか、ジャン・バルジャンとか……。おじさんになった頃に、と憧れます」
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誠実で落ち着いたトークの合間、ちょっとした言葉にちらりと覗く、20代男子の素顔。等身大の自分を保ちつつキャリアを積み重ねている山崎さんは、ヴォルフガングのように才能に押しつぶされることなく、これからも着実にミュージカル界を牽引していってくれそうです。そんな山崎さんが、自身と重ね合わせながら“生き切る”というヴォルフガング・モーツァルト。ラストシーンで立ち現れるのは深い感動、それとも爽快なまでの解放感……? ぜひ劇場で”体験”してみてください。
*公演情報*
『モーツァルト!』写真提供:東宝演劇部
*次ページに観劇レポートを掲載しました!*