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REIT型投信の地域分散投資が行いやすくなった

値上がり益に加えて、比較的高いインカムゲインが期待できることから、投資家に人気のあるREITを投資対象とした投資信託。昨年あたりから米国REIT型投信、グローバルREIT型投信に資金流入が継続していますが、2014年に入っては欧州REITを投資対象とする投資信託の新規設定が増えています。米国REIT投信などと同じく、継続的な資金流入が期待できるのか探ってみましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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ギリシャショックが尾を引いている?

資産運用の原則は国際分散投資にあるのは言うまでもありませんが、REITを投資対象とする投資信託は地域分散が行いにくい資産クラスの1つでした。グローバルREIT型投信を保有すれば、こと足りることになりますが、自分自身でポートフォリオを構築する投資家には少し物足りなかったと言えるでしょう。

グローバルREIT型を除けば、米国、日本、アジアのREITを投資対象とするREIT型投信はこれまでかなりの数が設定されていた(複数の地域に投資するものを含む)のですが、欧州REITを投資対象とする投資信託は2006年12月に設定された岡三アセットマネジメント「ワールド・リート・セレクション(欧州)」、2010年9月に設定された岡三アセットマネジメント「欧州リート・オープン」の2本に過ぎなかったのです。

純資産総額もワールド・リート・セレクション(欧州)こそピーク時には約360億円になりましたが、欧州リート・オープンは1億円を超えたことすらほとんどないというありさまでした。ちなみに、2014年10月16日現在では2本合わせて約28億円ですが、事実上はワールド・リート・セレクション(欧州)の純資産総額と言って過言ではないのです。

他のREITと比較して欧州REIT型投信の人気が盛り上がらない理由は、ギリシャショックなどが尾を引いていること、経済圏が大きいにもかかわらず、欧州REITの市場が大きく育たないことなどに要因があると考えられます。

新規設定が急増

2013年まで2本しかなかった欧州REIT型投信ですが、2014年に入ってからは3月にアムンディ・ジャパンが「アムンディ・欧州リート・ファンド」、5月に日興アセットマネジメントが「インデックスファンド欧州リート(毎月分配型)」、6月にING投信が「ING欧州リート・ファンド(資産形成コース)」、みずほ投信投資顧問が「欧州不動産戦略ファンド」、7月にカレラアセットマネジメントが「3つの財布欧州リートファンド」などを新規設定しています。

10月24日にはドイチェ・アセット・マネジメントが「ドイチェ・欧州リート・ファンド(毎月分配型)」が新規設定される予定です。2014年に新規設定された投資信託の純資産総額は10月16日現在で約490億円と、過去の欧州REIT型投信のピークを超えています。ブームとは言い切れませんが、新期設定ラッシュであることは間違いありません。

新規設定急増の背景

新規設定急増の背景を探ってみると、欧州各国のリートは相対的に高い水準にあり、国債との利回り差であるスプレッドが魅力的な水準にあること。欧州リートのパフォーマンスはリーマンショック以降、回復基調にあるものの、他のリートと比較するとその上昇は緩やかに留まっていることが考えられます。

景気低迷期に堅調であった債券に対し、景気回復の兆しが出てきた欧州は、リートや株式のパフォーマンスが期待されます。欧州主要都市のオフィスの賃料は上昇が予想されており、リートの賃料収入の増加も期待できるでしょう。

欧州ではリート制度を導入して間もない国や、リート制度の導入を検討している国もあり、欧州リート市場全体の時価総額等を押し上げることが期待されています。2013年にアイルランド、2014年にスペインがリート制度を導入、今後はハンガリー、ルクセンブルグ等でリート制度の導入・上場が検討されています。

足元、経済指標にややネガティブな指標もありますが、最悪期を過ぎた欧州ではリートの魅力が徐々に高まっていくようです。短期では難しいかもしれませんが、中・長期では景気の回復を背景とした安定した収益が期待できる欧州REIT型投信。今後、どれだけの資産流入があるのか期待してみたい資産クラスと言えそうです。
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