睡眠/睡眠関連ニュース・最新情報

祝・ノーベル物理学賞! 青色LEDと睡眠の深い関係

2014年のノーベル物理学賞は、青色発色ダイオード(LED)を発明した日本の研究者3人に決まりました。私たちの生活を明るくしてくれているLEDですが、睡眠や覚醒とも深いかかわりがあります。ここでは、LEDが睡眠に与える影響について、ご紹介します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

世界に評価された日本の基礎研究

ノーベル賞

日本の基礎研究は、世界でも高く評価されています

スウェーデン王立科学アカデミーから、2014年のノーベル物理学賞の受賞者が発表されると、日本中が喜びに包まれました。今回は、日本の研究者3人が受賞したからです。受賞理由は、「青色発色ダイオード(LED)の発明」でした。

ディスプレイですべての色を作り出すには、光の3原色といわれる赤・緑・青の LED が必要です。このうち、赤色は1980年代までに実用化されていましたが、緑や青の LED はなかなかできず、20世紀中の実用化はムリとまで言われていました。

この困難な課題に立ち向かい解決したのが、今回受賞した赤崎勇・天野浩・中村治二の各氏です。青色 LED の実用化に続いて緑色 LED が開発され、良質な薄型テレビやパソコン、モバイル、スマートフォンなどが普及しました。また、蛍光灯や白熱電球に比べてかなり省エネな LED ライトは、節電にも大いに役立っています。

今、私たちが当たり前に送っている生活の一部は、青色 LED のおかげとも言えるのです。

青い光は目をパッチリ覚ましてくれる

ブルーライト

LED は体内時計にも大きな影響を与えます

私たちの生活を、便利で環境にやさしいものにしてくれた青色 LEDは、睡眠と覚醒にも大きな影響を与えています。

ヒトは20世紀に入るまで、昼に活動して夜には眠っていました。そのため、明るい光を見ると目が覚め、暗くなってくると眠くなるように、脳がプログラムされています。

一方、エジソンが白熱電球を発明してから、夜も明るくなりました。20世紀も終わり近くなると、LED ライトが普及し始め、さらに明るくなりました。

朝、目覚めてすぐに明るい光を見ると、夜にたくさん分泌されていた睡眠ホルモン・メラトニンが減ります。そのため眠気が減って、目が覚めてきます。逆に夜に明るい光を見ると、せっかく増え始めたメラトニンが減ってしまい、目が覚めて眠れなくなってしまします。

光が明るいほどメラトニンを減らす作用が強いのですが、光の色によっても効果が違います。青い光(ブルーライト)は赤い光に比べて、メラトニンを減らす効果が強力です。夜になったら暖色系の照明の下で過ごすと良い、といわれるのはこのためです。

白い光にも青い光が含まれている

見た目が青くなくても、要注意です。ブラウン管テレビに比べて薄型テレビからは、青い光が数倍多く出ています。これは、バックライトとして使われている LED から、大量の青い光が出ているからです。テレビだけでなく、パソコンやモバイルフォンなどの画面からも、青い光がたくさん出ています。

白色LED

夜は白い LED ライトも要注意です

また、白色の LED ライトは、黄色と青色の光を混ぜ合わせて、白く見せています。省エネの観点からは LED ライトの普及が大事ですが、睡眠の質を良くする点からは、夜の照明は白熱灯がおすすめです。

しかし残念ながら、白熱灯の生産は終了してしまいました。夜をすごす部屋や寝室の照明は、電球色の LED ライトや蛍光灯を使うと、睡眠に対する悪影響が減ります。桜色のシーリングライトで睡眠が良くなった、という報告もあります。また、明るさを調整できるならやや暗めにすると、自然な眠気の邪魔をしません。

人類にとって偉大な発明である LED を上手に使って、朝はスッキリ目覚め、夜はグッスリ眠りたいものですね。


【関連サイト】
スマホは危険!? ブルーライトの睡眠への影響と対策
理想的な寝室を作る! 光と音のテクニック
【編集部おすすめの購入サイト】
Amazonで睡眠グッズをチェック!楽天市場で睡眠用品をチェック!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます