河合曾良の像が立つおせん公園
草加宿神明庵で情報収集した後は、綾瀬川の方向を目指します。川岸の手前のおせん公園には、大きな草加せんべい発祥の地の碑や、河合曾良(かわい そら)の像が立っています。河合曾良は、松尾芭蕉と一緒に奥の細道を歩いた人ですね。右手を前に伸ばした姿は、旅の道案内をしているのでしょうか。松尾芭蕉の像が立つ札場河岸公園
県道足立越谷線をわたった綾瀬川の川岸は札場河岸公園です。公園の入口には松尾芭蕉の像が立ちます。右手に杖を持ち左手に笠をかけ、友人や門弟たちとの別れを惜しむかのような見返りの姿。芭蕉の胸には親しい人たちとの楽しい語らいを超える旅心が渦を巻いていたことでしょう。広場の一角に建つ高さ11メートルの五角形の望楼からは、綾瀬川沿いの松並木が一望でき、とても壮観です。早く松並木を歩いてみたいという衝動にかられてきます。札場河岸公園から綾瀬川沿いに石畳の散策道が整備されていますのでこちらを歩いてみましょう。約1.5キロの遊歩道の左右には、600本を超える松が並木を作っています。江戸時代には「草加松原」、「千本松原」などと評され、日光街道でも屈指の名所となっていました。芭蕉もきっと、周囲の景観を楽しみながら歩いたことでしょう。「ここで一句」と頭をひねってみるのもいいでしょう。
松並木として三保の松原が全国的に知られていますが、なかなかどうして、草加松原も引けを取るものではありません。のんびりと散策するにはもってこいの場所です。途中に幹線道路と交差する箇所もありますが、矢立橋、百代橋などの和風の太鼓橋が架けられ、車に遮られることなくマイペースで歩くことができるのです。
一年中緑の葉をつける松の並木を歩き、せせらぎ水路の水の流れが目に入ると、そこが草加松原の北端です。
埼玉県初の鉄筋コンクリート建築の歴史民俗資料館
草加駅から草加松原を往復し、時間に余裕があれば、東福寺近くの歴史民俗資料館に立ち寄ってみるのもいいでしょう。資料館の建物は1926年に、埼玉県初の鉄筋コンクリートとして建設された草加小学校の校舎を改築したものです。鉄筋ならではの重厚さと、モルタル仕上げの知的なグレーの壁面が、草加の街のシンボルとなっていたのです。中に入ると、縄文時代に綾瀬川に浮かべた丸木船から、明治時代や大正時代に草加の民家で使われていた日用品まで、草加の歴史や文化を深く知ることができます。
街のいたるところに、名物の草加せんべいのお店が点在しています。いったい何軒のお店があるのでしょうか。あまりにも多すぎて数え切れません。しかも創業以来100年を超えるところも数多くあり、かつての宿場町の伝統を受け継いでいるのです。綾瀬川沿いの松並木ををはじめ、松尾芭蕉も奥の細道紀行のときに立ち寄った草加宿は、おすすめの観光スポットです。