適切で詳細な情報開示とは
健康食品とトクホの違いなど、消費者には十分理解されているのでしょうか。
科学的根拠についてクリアする以外にも、安全性を確保するために、製品について日常的な摂取量や、機能性関与成分の含有量、摂取方法、薬との相互作用を評価しなければなりませんし、健康被害の情報収集をする体制も整備しなければなりません。
また、「消費者が誤認しないように」容器包装の表示は、トクホ同様に様々な義務表示項目があります。事業者の連絡先等はもちろん、機能性関与成分の名称、1日の摂取目安量、1日の摂取目安量当たりに含まれる機能性関与成分の量、摂取上の注意……。
さらに、「安全性・有効性について、国による評価を受けたものでない」、「バランスのとれた食事が基本」、「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない」など、多くの情報を記載しなければなりません。また、限られたスペースしかない容器包装には表しきれない情報についても、なんらかの方法での詳細な開示が必要とされています。
説明会においても「例えば、店頭のPOPに機能性成分の科学的根拠や摂取上の注意等を表示するとしても、買う人が食べるとは限らない」など、様々なケースを想定しなければならず、情報開示のあり方の重要性や難しさについて説明されました。
情報を受け取り、判断する能力がより必要に
企業側が、食品の品質管理や、表示に関するコンプライアンスを徹底したとして、私たち消費者にとっては、どうでしょう。これだけ盛り沢山の表示内容を読むのか、またインターネットなどで、容器包装には掲載しきれなかった科学的根拠情報等を読んで、正しく判断できるのでしょうか。ガイドが、「食と健康」についてのセミナーなどをしていても感じることは、消費者の多くは、まだまだ行政が思うほど、食品に関する情報や表示を理解していないということです。
健康食品とトクホの違いをよく理解していない人を初め、「トクホで病気が治る」とか「○○がダイエットに効く」と信じて摂取している人や、様々な健康情報を受け止め、過度に期待する人も少なからずいます。薬と特定保健用食品、健康食品の違いや、機能性表示のルールについて解説すると、知らなかったという参加者の方も多いのです。
また、説明してその時はわかったような気がしていても、腑に落ちるのはなかなか難しいことだと思います。
ガイドは今回の説明会で、消費者庁の担当者に「消費者に、情報を読み取る力が必要だと考えます。消費者教育については、どのように考え、対策は予定されていますか?」と質問をしました。「今はまだ具体的に言えませんが、まもなく私たちの消費者教育の取り組みの計画を明らかにいたします」と、ちょっと自信のある表情で答えられました。よほどいままでにないような、わかりやすい取り組みをしてくれるのかと、期待半分ですが……。
この制度を有効活用するには、少なくとも私たち消費者自身に、情報を集め、取捨選択する力が必要となるのではないかと思います。
関連リンク/
「トクホのこと、本当に理解して使ってる?」
「サプリメントとのつきあい方」
「健康食品の虚偽・誇大表示に注意」
参考/
・機能性報告書(消費者庁)
・食品の新たな機能性表示制度に係る食品表示基準(案)関係資料(消費者庁)
・研究開発レポート No.4「機能性食品の開発」 資料2(文部科学省)